腰痛考

    前兆
   
 ずっと腰痛持ちではあり、長いこと立っていると腰をトントンとしたくなるようなそんな痛みを抱えていたが、ある時から中腰の態勢をとると

「ギクッ」っといかにも危ない!って思える痛みを感じていた。ゆっくりと態勢を立て直すとまるで何も無かったかのように痛みは消えた。

今思えばあれは確かにイエローサインだったのである。
 

 

    そしてその時がきた
   
仕事が立て込んで尋常でない忙しさに、疲労はピークに達し、その地獄からやっと解放された頃のある朝。

目が覚めて起きあがろうとしたその時、激痛と共に動けなくなった。だましだまし起き歩き、その日に近くの整形外科に行った。

ずっと腰痛持ちだったくせに、腰で医者にかかったのは初めて。レントゲンを撮ったのも初めて。そして腰痛の原因がわかった。
 

 

    腰椎分離症(ようついぶんりしょう)
 

 
 聞き慣れない疾患名を告げられた。レントゲン写真を見せてもらい説明を受けた。腰椎(腰の付近の背骨)には、

後ろに「椎弓」と呼ばれる突き出た部分があり、この部分が分離(骨折)してしまっているのを腰椎分離症と呼ぶ。

これが原因で周囲の神経などに影響し筋肉が過度に緊張する事で腰痛が起きていた。

実は日本人の約6%に分離があるらしい。コルセットをしてこの分離が骨ゆ合(骨がくっつく事)する場合もあるし、

手術で骨ゆ合させられる事もあるらしいが、REEの場合骨ゆ合は望めないそうだ。

分離した部分周囲が神経を刺激し痛みを発することで筋肉などが反応し、過度に緊張するので炎症を起こしている状態だそうだ。

腹も出ていないし体型には自信があったが、そういえば最近ちょっと腹筋の割れ具合も穏やかになって

腰回りの筋肉が落ちてきたなぁと思っていた所だった。

この腰椎分離症、原因はむかし先天性と言われていたが、最近では小児期の激しい運動による疲労骨折が、主な原因とされているらしい。

そう言われてふと思い出した。
 

 

    過去の原因
 

 
 それは中学(小児期じゃないんだけど)の頃。部活のサッカーで練習試合中、キーパーと1対1になった大チャンス。

逃してなるものか!と意気込み思い切りシュート!!と思ったら、ボールはREEの足のちょっと先に進んでいて、大空振り。

その勢いで腰をひねり倒れそのまま動けなくなった。

それから2週間程、寝起きは不自由、歩けば亀ロボット、靴ひもも結べない、靴下もはけない状態だった。

そうだ!その時の痛みと同じ痛みだ!
  

 

    地獄の3ヶ月間
   
 あのときは2週間で治ったじゃん。2週間頑張れば良くなるさ!と高をくくってた。初めて患った時は病院に原チャリで行けちゃう程だった。

そして2週間経っても一向に良くなる気配がない。逆に症状は悪化している傾向。原チャリは、路面の振動を拾うたびに激痛が襲い乗れなくなった。

座った状態からゆっくりでも立ち上がろうとすると激痛。食事も腰で支えられなくて肘を付いて食べる。その激痛は日増しに強くなっていった。
 


    症状
  
REEの場合しびれなど神経症状は無く、背骨の多少のすべりがあった。
 
 
 
朝、起きあがる時は、まずゴロンと転がりうつぶせの状態になってからゆっくり膝を曲げ、何かにつかまりながらでないと立ち上がれない。

そして激痛に襲われ、しばらくそのまま動けない事もしばしば。2階の寝室から1階の食卓に行くまで15分以上かかる。
 
 

 
激痛=ちょうど足がつった時の様に背骨周りの筋肉が急激に緊張して固くなり腰周り全体に激痛を伴う。

その痛みは足がつったそれとは比べ物にならないほど痛い。襲われるという表現がピッタリな激痛。
 
 

 
椅子に座った状態から立ち上がろうとした瞬間に激痛に襲われる。ほんのちょっとした動作で激痛に襲われる。気を付けても襲われる。

だからいつ激痛に襲われるかと絶えずおびえる。
 
 

 
立っているのが楽。椅子に座りたくなくなる。立ち上がる時が怖いから。ずっと立ってると疲れる。座りたくなり覚悟を決めて座る。

立ち上がる時の為に浅く腰掛ける。そして立ち上がりたくなくなる。でも生活していくには立たねばならない。繰り返しのジレンマ。
 
 

 
トイレは洋式でないと無理。トイレが怖い。拭く時の態勢で激痛に襲われる。でも拭かない訳にはいかない。

立ち上がる時の為に傘を杖代わりに置いた。トイレに傘…不思議な光景に苦笑。
 
 

 
寝る時はまずワンちゃんスタイル。それから足を後ろに片方ずつ伸ばし、ゆっくり仰向けにゴロン。寝返りをうつのが怖い。

態勢を変えるたびに激痛に襲われる。毎日眠りが極端に浅い。だから変な夢をたくさん見る。
 
 

 
風呂も怖い。バスタブにつかると浮遊した感じでとても楽。そこから立ち上がる時に激痛に襲われると困難。

熱い風呂に半身沈めたまま、バスタブの端を両腕で支え30分くらい動けなかった事がある。平行棒のオリンピック選手か俺は。。。

と苦笑しながら、腕力があってよかったとか考えつつ腕はプルプルして、汗はだらだら。なんの為風呂に入ってるのか。。
 

 

    ネガティブマインド
   
  腰痛を患ってからすでに数週間が過ぎた。炎症を抑え痛みを和らげる注射を腰にうった。これがかなり痛い。電気も流した。高周波治療もしてみた。

高額なカイロにも行ってみた。いずれもその時は多少楽になるものの、症状が改善されていったという印象は薄い。

この頃、かなり楽天的なREEもネガティブになっていた。一生このままの状態が続くのではないだろうか。本来の仕事に復帰出来るのだろうか。

大好きな車いじりももう出来なくなるのか。と。。そんな時、以前から気になっていたレカロシートのホームページを見てみた。

レカロについては「RECARO ORTHOPAD」を参照していただきたい。レカロではメディカルシリーズというのがあり、

その最高峰に「オルソペド」というモデルがある。

説明を読んでみると、「腰椎に損傷を抱えた人に〜」と書かれていた。これだと思った。当時定価で38万円。高嶺の花ではあったが、

せめて大好きな車を快適に運転したいという思いで、あきらめる事が出来なかった。

数日後ネットオークションでかなり程度のいい「オルソペド」を半額以下で手に入れる事が出来た。

後の項目でお話しするが、これが魔法のシートだったのだ。
 


    屈辱と愛
   
 毎朝当時5歳の娘に靴下とズボンをはかせてもらう。これって割と屈辱。でも黙っててもはかせに来てくれる。これって愛。

「パンツはくときいってね!はかせてあげるから!」絶対それだけは拒んだ。まだそこまでは娘の世話になりたくない。 父のプライド。
 

 

    鋭い感覚の持ち主
   
 Coco。プロフィールのページで紹介されている、当時家族だった愛犬である。

彼は可愛いヤツで、REEが仕事からどんなに遅く帰宅しても、2階の寝床から階段を走って下りてきて玄関で「お帰りなさい」をしてくれる。

散歩の時、いつもならガンガン引っ張るのだが、REEがちょっと落ち込んでいたりすると察して、

REEの横にピッタリついてREEの顔を見上げながら歩き、引っ張っらないでいる。

人間の心まで読みとる感覚があるのかと感心する。これからお話しする「鋭い感覚」とは、実はそんな事ではない。 

朝、REEが起床して2階から下りて来ると、先に気が付いて必ず階段の下で待っていて、体当たりするほどの勢いで飛びついて大歓迎してくれる。

REEが腰を患ったその日 (これはまずい。。飛びつかれたら激痛が襲ってくるだろうなぁ。。) と思いつつ、

15分かけて階下にたどり着いたのだが、15分下で待っていた彼は、尻尾はピンピン振っているのに、なんと飛びついて来なかったのだ。

REEが階段を一歩ずつゆっくり下りて来る姿を見て、何かを感じ取ったのだろうか。そして、REEがソファに腰掛ける。

いつもならすぐに膝にピョンと飛び乗ってくるのだが、彼は、ソファには乗ってくるがREEの横に寝そべるだけで膝に乗ろうとはしなかった。

腰を患ったその日から調子がもどる3ヶ月間ずっと彼はそうしてくれたのだ。 

犬と言うのは臭覚や聴覚の鋭さだけでなく、「今してはいけない事」を察知する鋭い感覚を持ち合わせているのだと、ただただ感動するばかりである。
 

 

    最後の大激痛、そして投薬ミス
   
 症状の欄にも書いたが、最後に襲ってきた大激痛は風呂場だった。

家族が寝静まった夜中に、風呂に浸かっていたREEは独特の浮遊感で心地よいバスタイムを満喫していた。

さて温まったし、体を洗うかとバスタブにつかまり立ち上がろうとした瞬間、今までにない激しい痛みに襲われた。

平行棒のオリンピック選手の様に、その態勢から動けなくなってしまった。しかもその時は、動かなくても激痛は継続していた。

夜中だし家族を呼ぶのも心苦しく、その態勢のまま30分程が過ぎた。やがて痛みも引いてきてやっとの思いで風呂を出ることが出来た。

しかし、いつ激痛に襲われてもおかしくない直感があって、医者からもらっていた痛み止めの座薬を入れた。

かなり強い頓服の鎮痛剤のため、非常時だけの使用にとどめていた。そしてそっと床についたのだ。 

 翌朝、目が覚めた時はなぜかやたらと腰が楽になっていた。

昨晩の鎮痛剤がまだ利いているのだろうと、何となく残りの鎮痛剤の数を数えてみると、あれ?!

一つ多いぞ???夕べ使ったのに減ってない・・・ふと隣を見ると似た様な薬袋・・・

恐るおそる手に取って見ると息子が熱を出した時にもらった子供用の座薬。

この袋、夕べ開けたヤツだ!笑い事ではないが、夕べは激痛と闘い疲れ果てていて、夜中だしもう眠くて死にそうだったし、

普段あまり飲まない様にしている薬だから間違ってしまったのだろう。 

たまたまなのか、はたまた息子の座薬が良かったのかわからないが、その日を境に動けなくなる程の激痛に襲われる回数が激減していった。
 

 

    魔法の椅子、レカロの効能
   
 多少回復してきた事もあり、家族と熱海に行くことにした。乗り降りの時さえ注意すれば車の運転も問題は無かった。

前出の購入したレカロシートは家の中においたまま。熱海まで車で約2時間。是非ともこの機会に使いたい。

しかし、この腰では取り付ける事が出来ず、義理の兄に頼みこんで取り付けてもらった。 

運転してみると、背骨が理想的な曲線を描いているのが実感でき、独特のホールド感でシートに守られているという感覚だった。

曲がり角で横にGがかかっても身体は振られることもなく快適に運転に集中できた。

このシートに座っている時が一番楽と言っても過言ではなかった。 

このシートが魔法のシートかもしれないと感じたのは高速のサービスエリアで休憩を取った時である。運転し始めて1時間以上が経過していた。

これだけの時間同じ態勢でいると次に動く時は細心の注意を払わなければ激痛に襲われるのは必至である。

にもかかわらず、全くと言っていいほど腰に痛みを感じないのだ。背の高い車なので降車する時は少なからず痛みを伴うのだが、それも全くない。

その時は「まあ、たまたま調子がいいのだろう」と思っていたが、熱海に着いてからも腰はすこぶる調子がよかった。 

翌朝、起きた時普段と違う布団だったためか、少し痛んだ。やはり昨日はただ調子がよかっただけかぁ。と思っていた。 

そして帰り道。サービスエリアでまたしても痛みがない。2時間以上運転して家に到着した時も痛みは皆無であった。

そして、その旅行を境に症状は急激に回復していったのだ。 レカロ、メディカルシリーズ「オルソペド」はきっと魔法のシートなのだ。
 

 

    腰痛考
   
 「腰」 にくづきに要(カナメ)と書く。正にカナメであった。日常のちょっとした動作の多くが腰を必要としていた。

故に腰を患うと言うことは日常の生活にかなり支障をきたす。 そして、ストレスとなり心までも蝕みかねない。

生涯の内、腰は非常に酷使されている事は間違いない。大切に扱うに越したことはないのだ。

若いからと言って甘く考えていると痛い目に遭う。 REEの仕事はある専門業種である。そして腰痛は職業病と言える。

職場には慢性的な腰痛を持っている者、今回の様に歩けなくなる程の腰痛を経験した者も多く、職場の腰痛に関しての認知度は高い。

3ヶ月間現場を離れデスク業務にまわしてもらえたのも、そんな職場ならではかもしれない。 

回復してから約1年が経ったが、腰椎分離症自体は消える事はない。相変わらず時々腰をトントンとしたくなる様な痛みも時々はある。

もう、あの激痛はごめんだ。だから普段から相当注意して生活している。立ち上がる時には必ず手をついて

低い体勢から物を持ち上げるときは必ず膝を落としから持ち上げる。

くしゃみはどこかに手をついて。手をつく所が無いときは他人の方でも借りる。大げさだがそのくらい注意して生活している。 

今、ヘルニアでもぎっくり腰でも、腰痛の激痛に耐えている方に心からお見舞いを申し上げる。そして1日も早い回復を願うばかりである。
 

 
   
  
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