第二次世界大戦が終わった1945年イギリスのローバー社は
創立時からのコベントリーから本社をソリハルに移した。
テクニカルディレクターであったモーリス・ウィルクスは自己で所有していたアメリカのジープをヒントに
民生用四輪駆動車の開発を提案。プロジェクトは’47年にスタートした。
兄のスペンサー・ベルノー・ウィルクスとエンジニア達と共にまずジープの実力を検証し、
驚くべく、たった2ヶ月でプロトタイプを完成させ、生産が決定された。
幾つかの改良が施されプロトタイプ完成から僅か1年後の’48年4月、
アムステルダム・モーターショーでランドローバー 「seriesⅠ」 は堂々たるデビュー果たした。
’48年、4気筒1600ccガソリンエンジンを搭載し80インチのホイールベースに2ドアのボディを背負ってスタート、売り上げは拡大し続けた。
幾度かの改良を加えながら、2リッターガソリンエンジンとディーゼルエンジンを持って‘57年にseriesⅡへとバトンを渡した。
依然売り上げ好調ローバー社はこの時から専門のスタイリング部門を持ち、seriesⅡはボディの幅を1.5インチ広げ独特のスタイルとなった。
ガソリンエンジンは2.3リッターに拡大され、最高出力は40%も向上した。
’61年、ディーゼルエンジンを2.3リッターに拡大。
’67年に109インチのホイールベースに2.6リッターの6気筒ガソリンエンジンが導入された。
’68年には110インチのホイールベースが採用され、ヘッドライトがフロントグリル内からフェンダーへと移設され、’71年まで生産された。
この頃からシルエットが今のディフェンダーに近くなってきた。
英国自動車業界再編の内乱の最中生まれたのがseriesⅢ。seriesⅡからの変更点は主にインテリアの装備を中心に行われ、実質的には
seriesⅡのマイナーチェンジと言う位置づけになる。’71年からほとんど変更を受けていないseriesⅢは、
’70年に発表されたレンジローバーのV8、3.5リッターエンジンを搭載する事となり、フロントグリルが前方に押し出され、
今のディフェンダーとほぼ同じ顔つきになった。同時にレンジローバーに採用されていたフルタイム4×4システムも奢られた。
- ’90年、seriesⅣは車名を 「DEFENDER」 と改名し、前年に発表されたディスカバリーの
2.5リッター4気筒直噴インタークーラー付きターボディーゼルエンジンを改良した「200Tdi」が搭載された。
- ’94年には更に改良を加えた「300Tdi」となる。親会社が移り変わる中、この年頃にBMW社が親会社となっていた。
- ’97年 OHV8気筒の90が500台限定で日本に正規に輸入される。翌年450台限定で輸入される。
- ’98年 2.5リッター5気筒電子制御直噴インタークーラー付きターボディーゼルエンジン「Td5」が搭載され、見た目は無骨だが、
中身は着実な進化を遂げ、アンチロックブレーキシステムやトラクションコントロールシステムまで奢られる。
この電子制御化に関しては賛否両論ある所ではあるが、アルミのボディ、何十年とほとんど変わらぬスタイリングからも見受けられる様に、
seriesⅠからのアイデンティティを忠実に引き継ぎ続け、確実に進化を遂げている。
- 2000年 BMW社はランドローバーブランドをフォードに売却。
- 2002年 このTd5エンジンを搭載した110が日本で待望の正規輸入開始。正規輸入された時には既にフォード社傘下にあったことになる。
正規輸入ディーラーでは乗用登録ができず商用の1ナンバー登録のみだった。
そして、すこし遅れてダブルキャブピックアップモデルがディフェンダーブラックと言う名で50台限定で正規輸入される。
このブラックの正規輸入ダブルキャブを日本で見かけたらかなり珍しい。
その後、ディーゼル規制のあおりを受けわずか3年後の2005年に正規輸入は打ち切られた。
- 2007年 ディフェンダーはフォードの2.4リッター直4エンジンPUMAを搭載。
ミッションは6速を備え、内装も豪華になり、吊り下げ式のクーラーから、エアコンに代った。
外観のデザインは変わらず、ボンネットにバルジが設けられたのみ。
- 2008年 フォード社はランドローバーをジャガーとともにインドのタタモータース社へ売却。
- 2012年 2.4リッターからDPFを備えた2.2リッターエンジンへ変更になった。出力とトルクは変わらず。
- 2015年12月の生産を最後に、シリーズ誕生から長き命を授かったディフェンダーは67年という歴史に幕を閉じた。
- 2016年 1月29日 最後のディフェンダーが、ランドローバー社員に見守られながらソリハルの生産ラインから旅立っていった。
シリーズからのアイデンティティを着実に引き継いできたディフェンダーには、
どんな高級車にも成しえない味わいと魅力が備わっており、今もなおファンから熱い支持を得ている。
ディフェンダーが生産ラインから消えたその頃からポロポロと新型ディフェンダーの噂が本格化しだしていた。
様々な憶測を呼び、戦略とも取れる具体化したリーク映像が流れる中
2019年「フランクフルト・モーターショー」にて新型ディフェンダーが初公開された。
公開前関係者が、「現行ディフェンダーのコアなファンには受け入れ難いデザインかもしれない」とほのめかした通り
直線基調な無骨なデザインから、今風の洗練されたスタイルに変身していた。
これには賛否両論あろうが、REE的には「まあ、時代としてアリかな。」という感想だがディフェンダーと名乗ってほしくない気もする。。
恐れていたのは、レンジなのかディスコなの判らない様なデザインに仲間いりするのでは?。。と思っていた。
が、その仲間とは完全に一線を画す、ちょっと特別な印象を持っていて安心した。
日本では既に先行販売から本格受注開始(2020年4月現在)当初は90と110の 4気筒ガソリン2000cc P300のみ。
https://www.landrover.co.jp/vehicles/defender/special-site/index.html
この他に6気筒ガソリン3000ccのP400、4気筒クリーンディーゼルのD200とD240がラインナップされており
プラグインハイブリッドも2020年に公開予定。日本への投入は定かではない。
いずれもマニュアルミッションの設定がないのは時代の流れとはいえ、それだけで購買意欲は薄れる。。
REEはTd5を墓に一緒に入れてもらうつもりなので、購入予定はなし。
新型ディフェンダーは先進技術をまとい、ランドローバーのラインナップの中でも完全に特別な存在。
他車の追随を、いとも簡単にモノともしない風格と魅力に溢れていることに変わりはない。