ディフェンダーのフロントステアリング系とサスペンション系.。
ピンクのラジアスアームとオレンジのパナールロッドはサスペンション系。コイルスプリングとショックアブソーバは割愛。
サスペンション系にはスタビライザー(アンチロールバー)もあるが、REEの車輌には非装着。
その他は緑、青、黄色、水色のパーツはステアリング系。
今回交換するのは、青のドロップアームのボールジョイント部分。
ドロップアームのボールジョイントブーツに亀裂
このままでは次の車検は通らない。
ブーツのみの製品提供は捜した限りなく、ボールジョイントと一体で交換する。
純正の品番はRBG000010。Drop Arm Ball Joint Repair Kit 。
ここの交換作業はドロップアームを取り外して出来れば楽だろうが
このドロップアームを外すにはかなり強靭なプーラーが必要になる様。
ちなみに固着している時によくやる、バーナーで炙るのはこの部位には厳禁との事。
このままの状態でボールジョイント&ブーツを交換することにする。
ドロップアームボールジョイント用のSST。DA1125
ドロップアーム内のTop Cupを抜いて、新品のTop Cupを挿入するのだが、この作業にはこのSSTがあった方がよい。
SSTを使用せずともピンポンチとハンマーなどの方法で出来るかもしれないがかなり難しいと思う。
Top Cupを抜かないで再使用してしまうなら、このSSTは無くても作業自体に支障はない。
専用工具とはいえ2000円もしないものなので入手することをおすすめする。
ドロップアームボールジョイントリペアキットRBG000010は以下のように部品点数が多い。
そして、今回届いたのはBEARMACH社のものだが、取説的なものは何も入っていないので結構迷う。
どうぞこの記事を取説としてご活用ください。
※部品の名称は記事を書く上で便宜上REEが勝手につけた名称です。
- ①Ball Joint
- ②Top Cup
- ③Bottom Cup
- ④O-Ring
- ⑤Spring
- ⑥End Cap
- ⑦Snap Ring
- A Gator(ブーツ)
- B Inner Metal Clip
- C Top Metal Clip
- D Bottom Spring Clip
- E Castle Nut
- F Washer
- G Cotter Pin
今回はジャッキスタンドを掛けているが、掛けなくとも作業的にはできないことはない。
ジャッキを降ろしジャッキスタンドのみになったら
車輌をゆすってみて確実に支えられているか安全を確認してから作業開始。
ステアリングプロテクションバーを外した方が確実に作業はし易いが
お決まりの固着で1本どうしてもボルトが回らず断念。
残念だけど作業自体は問題なく行えるので我慢。
ボールジョイントのナットを回す時、ステアリングが自由に動かないように
左いっぱいに切った状態でステアリングロックをしておくと作業しやすい。
ネジ部へ到達するようにラスペネをガッツリ吹いてしばし待つ。
コッターピンを抜いてキャッスルナット(王冠ナット)を外す。
このキャッスルナットのサイズは19mm。ボールジョイントを再利用するなら
通常はナットを半掛けした状態でタイロッドエンドプーラーを掛けるが
(しなくてもほぼ大丈夫だが)今回再利用しないので、ナットは外した状態で。
ちなみにキャッスルナットの場合逆さまにして半掛けしておくとよい。
よく外れた瞬間プーラーが落ちないように紐を掛けてどこかにぶら下がる様にするが
作業の高さも低いし面倒なので紐は掛けない。
クロスロッド、ステアリングダンパーを外した画。
このドロップアームのボールジョイント部分下からアクセスする。
ボールジョイント下から覗くと、スナップリングでキャップが
留めてあるのでスナップリングプライヤーを使って外す。結構強靭。
古いグリスと共に②のTop Cupを除く部品がすべて下から抜ける。
破損したブーツも外す。
古いTop Cupは圧入されている。
専用のSST DA1125 を使用して抜き取る。
DA1125のセットの内「六角ボルト、ナット」、
「長いスリーブ」と「大きいリング」を使用する。
図のような配置でドロップアームに装着する。
19mmのレンチを使用し締め込んでいくとTop Cupが抜けてくる。
ある程度抜けたら六角ボルトの頭をハンマーで叩くと
スコンっとTop Cupが抜ける。
古いTop Cupが外れたら、内部を清掃しグリスを塗布しておく。
半球形のカップ側を下向きにし
新しいTop Cupを手で入るところまで押し込む。
専用のSST DA1125 を使用して圧入する。
DA1125のセット全て「六角ボルト、ナット」、
「長いスリーブ」、「大きいリング」と「小さいリング」を使用する。
図のような配置でドロップアームに装着する。
19mmのレンチを使用し締め込んでいくとTop Cupが圧入される。
適正な位置に圧入された頃、それ以上締め込めなくなるのでストップ!
スレッドはTop Cupが適正な位置になるように刻まれている。
締め込みが止まったらそれ以上は締め込んではいけない。
ドロップアーム内にグリスを適量(多めでもはみ出るだけなので大丈夫)充填し、Drop-arm-assembly-positionの図の通り
ボールジョイントにもグリスをたっぷり目に塗布して「ボールジョイント」 → 「ボトムカップ」 → 「Oリング」 の順に挿入。
使用するグリスはWako'sのMPG-GだったかHMG-Uだったか。
たまたま有ったからと言え、ここに使うかこの高級グリス。
高級グリスをたっぷり目に。。惜しげなく。。
あぁ、もったいないかな。。
最後にスプリングを挟み込みエンドキャップをスナップリングで留めるのだけど、不安定な態勢と下からの作業。
スプリングの強度が強く、とても指ではエンドキャップをスナップリングが装着できる位置まで押し込めない。
ということで、バイス・クランプ(通称シャコマン)を使用してエンドキャップを押さえてスナップリングで留める。
バイス・クランプとその他組み合わせて使用する。
有効幅125mmだが150mm程度あった方がよいかも。
ボールジョイントの約12mmΦの軸をかわさなければならない。
27mmのディープソケット(DEFホイール用)が丁度よい。
ここまで掛けるのにけっこう悪戦苦闘する。
125mmだとギリギリ。
スナップリングを装着するスペースのため、その辺に転がっていたナットを使用。グイグイ締め込んでどうにかスナップリング装着完了。
言うは易し。この作業が困難を極めるが、頑張ってどうにかスナップリングを装着出来た。もぅやりたくない。
インナークリップをブーツに挿入。
クリップの上下は図の通り。
トップクリップも先に装着。
ドロップアームの切り欠きにブーツ下部を上手にかぶせる。
ブーツ下部にクリップを取り付けるが、よくあるのが左の写真のクリップ。これ付けんの難しくてホント苦手。ちっともコツが掴めない。
今回のKITに入っていたのはスプリング式のクリップ。これは装着し易そう!!とブーツにかぶせ始めるも。。。
プチッ。切れた。。。。おい!
あの難しいクリップは使いたくない。
そんな時はこれ!多くのプロもこれでやる。
ステンレス製のワイヤーを2重ほど巻いてしめる。
太さは0.9mm。
今回ワイヤーツイスターを使用。
クセになる美しいツイストワイヤー。
調子に乗って締めすぎないように注意。
クロスロッドとステアリングダンパーの付いたドラッグリンクブラケットをドロップアームのボールジョイントへ戻す。
ワッシャーを入れてキャッスルナットを40Nmで締め付ける。コッターピンを装着して作業完了。
実は今回2回めの交換。前回この作業を行った時、ブーツ装着の際ブーツに傷を付けてしまい、しばらくそのままで走行していたら
グリスは漏れるは(あたりまえ)、最後 ブーツの傷口から裂けてしまった。
新たにKITを取り寄せ、ブーツのみ交換すればよかったものを、やめればよいのに最難関の作業でまたもや四苦八苦。
一度経験していても、難しい作業は何度やっても難しいままでした。もぅやりたくない。
このサイトは主に ランドローバー・ディフェンダー110(2005年Td5)のメインテナンスや改良などの情報サイトです