このサイトは主に ランドローバー・ディフェンダー110(2005年Td5)のメインテナンスや改良などの情報サイトです

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ショートストロークMTギアシフト
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 この記事は2005年式のTd5ディフェンダーで行ったものです。同じディフェンダーでも、年式や形式、同じ年式でも微妙に仕様が違ったり
使用している部品番号が違ったり、新しい部品番号に変わっていたりしますのでご注意ください。

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 ディフェンダーのMTギアシフトのストロークは、見た目から想像通りのトラックの様にストロークが長い。
この車の走り方として特に不満はないが、もう少し小気味良くシフトしたいとも思う。
前車の時にも交換していたショートストロークのシフト、ディフェンダー用のも存在する。
イギリス本国のランドローバーパーツのショップのサイトで見つけて以来ずっと気になっていた。
そして、他のパーツと一緒にポチっとしてしまった。

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Slickshift for Defender
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値段は £74.99
日本円にして \10500 程(2017.1現在)

paddock

 パーツ購入は、個人輸入でよくお世話になっている「PADDOCK」というイギリスのショップ。
ランドローバーの、古くはSeriesからDefender、
Disco、Freelander、Rangeの最新パーツまでを扱う。
仕事は確実で早いし、発送の連絡などメールで密にしてくれるのでとても安心。
今回も他のパーツも含めて間違いなく、ウェブサイトでの注文日からUPSで10日で届いた。

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-取り外し作業-

シフトノブとトランスファーノブを外す。

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両方ともくるくると反時計方向に回せば
簡単に外す事ができる。
 

       

ギアレバーブーツを外す。

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写真の様にトンネルカバーの隙間を開くと
ギアレバーブーツの下淵にアクセスできる。
ギアレバーブーツをめくり上げるように外す。     

  

  

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ギアレバーブーツを取り外すとこんな感じ。スポンジ状のインシュレーションとシフトギア、トランスファーギア部分にゴム製のカバーが掛けられている。

  

  

アッパーギアレバーを外す

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ナットとワッシャを外す。このナットはナイロンナットになっている。メガネレンチ使用がベスト。サイズは17mm

  

  

スポンジ状のインシュレーションとシフトギア部分のゴム製カバーを外す。

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 実は今回の作業で一番の難所がココだった。大抵この様に予想外のところが難所になる。スポンジのインシュレーションはキツイながらも外れたが
シフトギア部分にかかっているゴム製のカバーがかなりのキツさでビッタリとハマっていて外すのに酷く力が必要。
悪戦苦闘で一番時間を要した。最後は少しだけカッターで切れ目を入れて外した。スポンジ状のインシュレーションを取り去ると、地面が丸見え状態。

  

  

バイアススプリングをボールピンから外す。

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この様にドライバーなどを使ってテコの原理で、バイアススプリングを左右ともボールピンから両端へずらし外す。

  

  

矢印のボルトと特殊ワッシャを外す。

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 ラチェットレンチに75mm程度のエクステンションをつけるのがベスト。
ソケットサイズは10mm

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特殊ワッシャの形状はこんな。

  

  

ロアギアレバーを上方に引き抜く。

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 ロアギアレバーの中心に、写真右にある
ナイロンパッドがスプリングと共に内臓されているので、車輛後方方向に
飛び出さないようにウエスを当てがうなど注意して引き抜く。

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新旧のロアギアレバー。新の方がシャフトの長さが長いのがわかる。

  

  

     

ハウジングを外す。

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 矢印の4本のボルトを外す。
ラチェットレンチに150mm程度の
エクステンションをつけるのがベスト。
ソケットサイズは10mm

 

     

シフトロッドを取り外す。

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 矢印のキャップボルトを外す。
このボルトははねじロック剤で固定されているので、外すのはかなり固い。
ラチェットレンチに75mm程度のエクステンションをつけるのがベスト。
レンチに平手でショックを掛けないと回らない。いわゆるL字の六角レンチや
ドライバータイプの六角レンチだと回らないかもしれない。
ヘキササイズは5mm

  

  

シフトロッドに装着されている樹脂製のソケットを外す。

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裏側の軸用スナップリングで固定されている。

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 このスナップリングは、専用のプライヤーが無いと外すのが困難かもしれない。
新旧の樹脂製のソケットだが、色以外の違いを見つけることができなかった。

  

  

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242

 新しい樹脂製のソケットを装着してビスをパーツクリーナーなどで清掃後にねじロック剤を塗布して元の位置に戻す。
ねじロック剤は LOCTITE#242 中強度のロック剤。

  

  

ハウジングに残っているガスケットを取り去る。

     ガスケット

スクレパーなどを使わず手でペリペリと剥がれた

     ウルトラカッパー

  剥がしたガスケットの代わりに液体ガスケットを使う。
URTLA COPPERという液体ガスケット。

  

  

     塗る

 ハウジングに液体ガスケットを塗布する。
塗布する前にパーツクリーナーなどで表面を清掃しておく。

     塗る

スぺーサーにも液体ガスケットを塗布する。
左のハウジングと合わさるので、片面だけ塗布。

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-戻し作業-
     

シフトロッドを元に戻す。スぺーサーをミッションケースに装填する。

戻しスペーサー

 シフトロッドをシャフトの穴にビスがハマるように装着して
ビスを頭が飛び出さない位まで締める。
ミッションケースの表面をパーツクリーナーなどで清掃して
スぺーサーはガスケットを塗布した方を下にして装填。

     

ハウジングを装填し付属のボルトで固定する。

戻しシフト

 もともとのボルトサイズは10mmだったが
キットに付属されていたボルトで固定。
ソケットサイズは13mm
締め付けトルクは25Nm

  

  

グリス
        
グリス

ロアギアレバーのシャフト部分とボールピン周辺に、たっぷりとグリースを塗布する。

  

  

     

 

スプリング

 ロアギアレバーの真ん中の穴に、
こちらのナイロンパッドとスプリングを共に挿し込む。

     

ハウジングにロアギアレバーを装着する。

ロアギアレバー

 ナイロンパッドとスプリングを傷つけないようにドライバーの柄などを使って
押しながら、ロアギアレバーをグッと力を込めてハウジング内に押し込み装着。

  

  

     ロアギア

矢印のボルトを特殊ワッシャと共に装着。
締め付けトルクは10Nm

     

バイアススプリングをボールピンに戻す。

バイアススプリング

 外した時と同じくドライバーなどを使って、テコの原理で開きつつ持ち上げ、
何かしらでボールピンの上に導く。思うほど困難な作業ではない。

  

  

-バイアススプリングの調整-
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 -WorkshopManualより
この調整の目的は、ギアが3速または4速に入れられたときに、ギアレバークロスピンの両端に、バイアススプリングが均等に圧力をかけるように
左右の調整スクリュを設定することにある。これによりギアレバーがニュートラルの位置にある場合、ギアチェンジメカニズムが自動的に3速および4速ギアと並ぶ。

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 ショートストローク化するだけで、この調整は不要と思っていたがそうではなかった。
ゆっくり操作する分には3速や4速にスコっと入るのだけど、ラフに操作をした時に、特に4速に入れる時に引っかかりが起きた。
アソビ分が多すぎて、ニュートラルの位置でギアがちゃんとセンターを捕らえられなかった事が原因と思われる。
この調整は交換後にちゃんと行った方がよい。

 
バイアススプリング
バイアススプリング

ピンクの矢印の調整スクリューで調整する

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 -WorkshopManualより(ギアを3速か4速に入れた状態で)                                 

  1. スプリングの両端がギアレバーのクロスピンから0.5mm離れるまで2個の調整スクリュで調整する。
  2. ギアレバーに右側方向に軽い負担をかけ、左側スプリングの先端がクロスピンと接触するまで左側調整スクリュを下方向に調整する。
  3. 右側調整スクリュについても同じ手順を繰り返す。
  4. 両方の調整スクリュを遊びがなくなるまで、同じ量だけ下げる。ロックナットを締める。
  5. ギアレバーをいったんニュートラル位置に戻してから、各方向に数回動かしてみる。ギアレバーは3速または4速に戻っている。
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     インシュレーション

ゴム製のカバーを取り付けて、スポンジ状のインシュレーションを元通り突っむ。

     アッパギア

アッパーギアレバーを17mmのメガネレンチで取り付ける。
角度は好みで調整できる。元々の角度とほぼ同じに調整した。
締め付けトルク25Nm

  

     作業終了

ギアレバーブーツを取り付け、シフトノブとトランスファーノブを取り付け終了。

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シフト距離
   

 腕をギアに伸ばしたラインに一番近い、ボックスのフタの角「A」からシフトノブの中心で計測。
ニュートラルの位置はほぼ変わらず、ストローク量は前後が40mm、左右が30mm短くなった。
一番遠い1速までの距離は図に示さなかったが、元は350mmで新は345mmと5mm短くなった。
体感的には1速に入れた時に位置が近くなったという感じは薄い。

 ショートストロークの恩恵は体感できる。
手首を返せばシフトチェンジとはいかないが、確実に運動量は少なくなった。
とは言え、これでシフトチェンジが格段に速くなるかと言えばそんなことはない。
むしろ、そういう車ではないので。 ただ、快適になった。

シフト距離