少し前から気づいてはいたが、パワステポンプからオイルが染みていた。
直ぐにどうこうなる感じでもなかったので、様子を見つつ放置していたが
その間、海外のYoutubeを漁るとシールの交換コンテンツがいくつかみつかった。
ただ、ほとんどが300tdi。Td5でもDISCOVERY2のものでパワステポンプ自体の品番が違う。
品番は違うのだが色々な写真や映像などから判断してDISCOVERY2のものと
ほぼ形状はいっしょ。どうもシールは互換性がありそうな気がして見切り発車。
万が一合わない場合は厚手の汎用ガスケットシートを切り出せばどうにかなるだろうと。
だがそう甘くはなく、結局ポンプ自体を交換することになった。という記事です。
海外のフォーラム記事で知ったこのシールキット。
海外のYoutubeではこのキットを使ってシール交換をしていた。
ただ、いわゆる専門店やサプライヤーでは製品として設定がなく。
見つけることができなかった。ebayで売っているとの情報から
ebayでこのシールキットを BUY IT NOW した。
このシールキットはディスコ用。ポンプの品番はQVB101240 。
ディフェンダーTd5の品番は QVB101350
だが、このシールが適合するパワステポンプの品番が
明確に記されている記事はどこを探してもなかった。。
サーペンタインベルト交換を参考に、まずビスカスファンを外す。
①クランクシャフト
②オルタネーター
③テンショナー
④アイドラープーリー
⑤エアコン
⑥補助
⑦パワステ
上の写真の⑦がパワステポンプのプーリー。ベルトを外す前にこのプーリーを留めている3本のボルトを少しだけ緩めておくといい。
ボルトを外す時、プーリーが共回りしてしまうので、先に緩めておく。ボルト頭は 10mm。
3本のボルトを緩めたらサーペンタインベルトを外す。サーペンタインベルトの外し方はサーペンタインベルト交換を参考に。
(サーペンタインベルトを外す工程をこのページに入れると膨大な記事になってしまうので、リンクを参考にしてください。ごめんなさい。)
サーペンタインベルトが外れたら、パワステポンプのプーリーを外す。
ベルトがかかった状態で緩めておく
プーリーが簡単に外せる
パワステポンプ下辺りにオイル受けを置く。プレッシャパイプは外側のナットを緩め外す。サイズは22mm。メガネレンチは使えない。
インレットホースは、マイナスドライバーでホースクリップを緩めホースを引き抜く。いずれもフルードがジョボジョボと溢れ出るので慌てず。
プレッシャパイプ、インレットホースの開口部には、異物混入などによるオイルの汚染防止のために必ず栓をしておく。
プレッシャパイプには汎用ホースプラグを使用。プレッシャパイプの先端径は約12mm。φ12mmサイズを使用。少し緩いが異物混入防止には十分。
インレットホースの内径は約19mm。汎用ホースプラグでは、丁度よいサイズがなく、何かないかなぁ、と見つけたのがコーキング剤の未使用ノズル。
パワステポンプのブラケットの5本のボルトを外す。頭サイズは10mm。
ボルト長は3種類、上部真ん中(短)ポンプ本体とブラケットを留めている。
上部左右(中)ブラケットと補助ハウジングを留めている。
下部2本(長)ブラケットからポンプを貫通して補助ハウジングまでを留めている。
ボルトが外れたら、ポンプ本体を手前に引き出すとポンプが補助ハウジングから外れる。
インレットホースの栓を見つけるまでの間、ドライバーの柄の部分を突っ込んでるのが写っているが
柄のくぼみ部分が隙間となり、栓の意味を成していなかった。参考までに。
表側 三角のプーリー取り付け部分
裏側 クーラントポンプを回すカップリングがある
低圧インレットアダプタのシール交換。2本のボルト、頭サイズは10mm。
硬化はさほどしてなかったが、平たく変形はしていた。
と、ここまででパワステポンプを元に戻してオイル漏れの様子をみればよかったのだが
どうせなら本体中間の黄色いシールも交換すれば完璧か、なぁんて色気を出したのが悲劇の始まり。
シールは予想通りピッタリサイズで使えそう。でわ!!と
パワステポンプ裏側のキャップボルト4本を外すと本体シルバーの部分が分離する。
はずだった。。。汗
ボルトは外れて、本体に隙間は開くのだが、何をしてもどうしても分離ができない。
2時間以上格闘したが、全く外れる気配なし。
あれ?もしかしておれ、やらかした?
入っていたパッキンシールは既に硬化気味でボロボロと取れたのでどちらせよ再利用は不可能。
新しい黄色のパッキンを一部切って隙間から挿入して、液体パッキンでーなどと作戦をたてつつ
キャップボルト4本を締め戻そうとしたところ、何故か最後まで締められなくなってしまった。
隙間が大きく開いてしまい、もはや液体パッキン使ってというレベルではない。
そして更に悲劇が、プーリーの軸の回転が異常に硬くなるという現象も。
Youtubeでみた内部の部品はかなり細かいものが多数あり実はとても精密。
半分隙間を開けた状態で2時間以上の格闘の末にどうやら内部でその細かい部品がずれてしまったのだろう。
これは。。。THE END.
海外のYoutubeをよく確認してみると
裏側がフタの様な形状になったものでクーラントポンプへのカップリングがない。DISCOVERY2のものと言っているものの
どうやらポンプ自体の型番が違うようだ。更に調べるとこのフタの形状になっているポンプはHobourn Eaton製のポンプ。
このEaton製ならパカッと分解してシールを交換できるようだ。DISCOVERY2のどこかのタイミングでQVB101240に仕様変更になったのか定かではないが
今はパワステポンプは非分解パーツとしてアッセンブリ交換ということか。それで、どこにも補修部品としての設定がなかったのか。
色々と手は尽くしましたが。。。残念です。。これ以上は策がございません。。
とは言え、昨今コロナウイルス禍で世界中が大混乱の最中、国際発送も含め対応してくれるのか。
いつもパーツを個人輸入しているPADDOCKはこの影響でオンラインストアがクローズ中。
まずい!どこもそうなのか?ともう1店よくお世話になっているLRDIRECTはどうか。
こちらは英国政府の通達により営業中とのこと。国際発送もDHLはフルで稼働しているとのことで一安心。
早速パワステポンプを注文。パワステポンプが届くまでしばしの間、不動車となった。
きっと時間がかかるだろうと思っていたところ、意外に早く通常と変わらず1週間で届いた。
・LRDIRECT 商品=安い 送料=高い デリバリー=早い(平均1週間)
・PADDOCK 商品=普通 送料=安い デリバリー=普通(平均10日間)
なので、結果どちらで購入しても最終的な金額はトントン。
パワステポンプにブラケットを仮装着する。ブラケットは非対称で向きがあるので注意。
パワステポンプを取り付ける補助ハウジングの奥真ん中には、クーラントポンプのカップリング金具がある。
手探りでの作業なので、予めクーラントポンプのカップリング金具を回転させ縦か横に位置決めをしておく。
それと噛み合うようにパワステポンプ側のカップリング金具を90°になる様に位置決めした状態でパワステポンプを挿入するのだが
ここが今回の作業の一番の難関! 組付け精度がハンパない。全く入る気がしないほど入ってくれない。ポンプの方が大きいんじゃない?
と思っちゃうくらい入ってくれない。角度が完全に正対しないと、コンマ°ずれても入らないっぽい。でも必ずスコッと入る角度があるので頑張って。
無事挿入できたら、ブラケットのボルト5本を締めていく。締め付けトルクは5本とも25Nm。上部真ん中が短、上部左右が中、下部が長。
プレッシャパイプを挿入し22mmのナットを20Nmで締め付ける。
(ここはトルクレンチが使えなかったので、締め付けトルクは適度に。)
インレットホースも差し込んでクリップバンドをマイナスドライバーで締めつける。
プーリーを手で押さえつつ取り付けボルト3本を仮留めする。
サーペンタインベルトを取り付けた後プーリー固定の3本のボルトは10Nmで締め付ける。
その後、ビスカスファンを取り付けて、冷却ファンカウルはまだ付けない。
サーペンタインベルト、ビスカスファンの取り付け方はサーペンタインベルト交換を参考に。
余談ではあるが、新しいパワステポンプには六角の穴が空いていた。六角レンチで回り止めができるようになっている。
が、手持ちの8mmの六角レンチだと緩く、9mmだと入らなかった。ということは8.5mm?探したがそんなサイズは無い。
9mmだって相当レアな方だ。といことはインチサイズだろうか。21/64インチか11/32インチあたりか。
いずれにしても、ここのボルトの締め付けトルクは10Nm。ベルトを掛けた状態での緩め、締めるで対応できるので問題はないが。
エア抜きの作業は、エンジンをかけるために換気の良い場所で行う。
ステアリングボックスにあるニップルを緩め
フルードを補充しながらニップルからエア抜きをする作業。
エア抜きはステアリングを左右に動かすため前輪をフリーにする。
なのでジャッキアップをしてウマをかける。
ステアリングボックスは矢印辺りから覗くと見える
ニップルにキャップがかかっている
キャップを外すとエア抜き用のニップルが見える
クーラントホースや配線など入組んでかなり狭いところに手を突っ込んでの作業にはなるけれど、何も外さなくても一応作業はできる。
ニップルにフレアナットレンチ(メガネレンチでも可)サイズは11mmをかけシリコンチューブをニップルにつなぐ。
このシリコンチューブは内径4mmφ。若干きついが一応入る。シリコンチューブの先は何かフルード受けを置く。
WorkshopManual にはシリコンチューブをつなぐ、などとは書いて無いがつなぐ事をおすすめする。フルードダダ漏れで周辺が大惨事になる。
リザーバタンク
MAXからMINの間に
- リザーバタンクにフルードを上限表示まで満たす。
フタを締め込んだ状態でMAXからMINの間が規定量。 - エンジンを通常の作動温度まで温める。
- 先ほどシリコンチューブをつないだニップルのスクリューを緩める。
- ステアリングを左右いっぱい(LOCK to LOCK)ゆっくり回す。。
注意:左右回しきった状態で10秒以上保持してはならない - エア抜きニップルからシステム内のフルードが排出されるので
リザーバタンクに新しいフルードを補充する。 - ”4”と”5”の工程を何度か繰り返す。
- エアーが抜けたらニップルのスクリューを締めつける。
今回はフルードの入れ替えも兼ねるので全量入れ替わるまで行った。
エア抜き作業が終わったら、パワステポンプ、ステアリイングボックス周辺のオイル漏れが無い事を確認して
冷却ファンカウルを元に戻して終了。(ラジエータのところに挟んだダンボールを忘れずに) 参考-サーペンタインベルト交換
- リザーバタンク内のフルードが空にならないように注意。エアを噛み込ませたらフリダシに戻る。
- 4.のステアリングを回すのはゆっくりやった方がよい。早く回すとどうもリザーバ内に細かい気泡が出てくる。
- 時々シリコンチューブの装填具合を確認した方がよい。REEは途中で抜けてステアリングボックス周辺が大惨事になった
- 塗装面にフルードがこぼれたら、即拭いて水で洗い流す。塗装面に悪い影響がある。
- フルードは肌に付いた場合もよろしくないので、ニトリル手袋をした方がよい。
使用中の飲食、喫煙も控える様に注意書きがある。
シール交換だけでお安くあげようとしたが、敢え無く失敗に終わる。まさかの非分解パーツだったとは。。多分
「いや、違うよ。こうすれば分解できたのに」という情報をお持ちの方は是非ご一報頂きたい。
LR推薦パワーステアリングフルード:ATF Dexron IID、またはIIITexaco寒冷地用PASフルード14315
Td5のパワステフルードの容量はシステム全体で、右ハンドルは3.4リッター、左ハンドルは2.9リッター。
今回使用したフルードは、KENDALLのCLASSIC ATF® JP Ver.という製品。
KENDALLは1988年ペンシルバニアで創設された歴史ある精油会社。
このCLASSIC ATF® JP Ver.は日本の正規輸入のもの。
取得規格は Dexron Ⅲ(H),(G),(F), Dexron IIE Dexron IID Mercon など
液色は正にフルード、真っ赤。
内容量は1ガロン(3.78リッター) 今回全量入れ替えも兼ねたので、ほぼ使い切り。
このサイトは主に ランドローバー・ディフェンダー110(2005年Td5)のメインテナンスや改良などの情報サイトです