スイベルシール交換 ついでにグリスが減る原因もの記事、最後で触れている
スイベルハウジングのグリスがシールを突破してアクスルケース側に流れ出る現象。
もちろんシールの劣化もあるけど、ずーっと気になっていたことがある。
ミッションもトランスファも前後のデフも内圧を開放するためのブリーザー機構があるのに
スイベルハウジングの内圧は開放される術がないのはなぜか?
実際、走行直後にスイベルグリスのフィラープラグを外してみたら、プシュッとなった。
内圧が上がっているのは間違いない。
逃げ場の無くなった圧力があの緩そうなドライブシャフトのシールを突破するのでは?
ネットで海外のページを漁っていると、やはり同じ疑問を持つ向きもあり
ディスカバリーだけど、スイベルハウジングのフィラープラグに内圧開放の機構を追加している例があった。
日本国内でも探してみると「みんから ★DEFENDER
PARADISE★さん」のページで
スイベルハウジングの内圧開放用のブリーザーホースを追加している例があったので→スイベルグリス漏れ
ご本人の了承を頂き、同じ処置を記事にすることにした。
・フィラープラグはテーパーになっていて、真ん中辺でおよそ21mm。
・ネジのピッチは、14tpi。
(tpiとは、Thread Per Inch の略で、1インチあたりのネジ山の数)
テーパーで径が21mm前後ということで、管用テーパーネジ 1/2サイズであろう。
14tpiというと、1/2のR(PT)が該当するが、1/2ではNPTも同じ山数である。
R(PT)なのかNPTなのかは、とりあえず根拠もなくISO規格のRでしょう。
スイベルハウジングのフィラー口は Rc1/2 というサイズ。
管用 R1/2 プラグが適合するのだろう、とした。
ちょっと脱線 R・Rc、PT、NPTの違い
R・Rc規格は管用テーパーネジのISO規格。旧JIS規格のPT規格と同じもの。NPTはアメリカの管用ネジ規格。R・Rcとは互換性がない。
NPTとR・Rcはテーパーの角度は同じだが、ネジ山の角度とネジピッチが違う。(1/2だとtpiは14で同じ)
ちなみにBSTPというイギリスの規格があるが、こちらはR・Rcと同じ規格と考えてよい。
・空圧配管用の継手を、フィラー口に合うR1/2のサイズを探してみたが
どこのメーカのラインナップにも見つけられなかったので
接続部をR3/8タイプにし、チューブ径8mm用を選択。
(SMC エルボユニオンKQ2L)
・変換ブッシュを介してR3/8をR1/2に変換する。
(アソー ブッシング 黄銅製 ねじ込み継手 NB-1043)
・チューブ(ホース)は、PUチューブ 外径8mm、内径5mmを選択。
割りと硬めなポリウレタンチューブ。長さは少し多めに5m。
商品説明には、高張力・高強度・強靭性を持ち
使用温度範囲が広く、耐圧性・耐熱性に優れてる。とあるが様子見。
見切り発車で購入したモノが届き、フィラー口にR1/2変換ブッシュを合わせてみたらジャストフィットでした。
まず変換ブッシュを取り付ける。
ここのプラグの適正トルクはどこにも記載がないが
テーパーなので締めすぎず緩すぎず、程々に締め付ける。
そして継手を取り付ける。
たまたま購入した継手がシールテープ付きだったがなくてもよいと思う。
エルボ部分がマッドシールドにあたって回せない?と一瞬思ったが
黄銅ネジ部分とエルボ部は分離して回るので大丈夫。締め付けはこちらも程々に。
エンジンルーム内へ配管するが、タイヤハウスに丁度よいサービス・ホール。
穴径は約21mm。チューブの保護のためグロメットを装着した。
手持ちのグロメットセットの一番大きいやつ。
サイズは外径1-1/16吋(約26.99mm)、板厚0.084吋(約2.13mm)用。
これが丁度よいサイズだった。
ちなみに、このタイヤハウスの素材はアルミ鋼板と思うが
板厚は約1.5mmだった。
継手にPUチューブをズズッと手応えを感じるところまで挿入する。
ABSセンサーのケーブルに沿わせるのに
このようなモノを代用した。ピッタリサイズ。
「ハタヤ(HATAYA) コード・ホースクリップ」
エンジンルーム内にあるこの手のクリップは
何て検索したらよいかも解らず、見つけられず。
色んな種類を売ってる所、誰か知りませんか?
チューブはABSセンサーのケーブル・ブレーキラインに沿わせ
グロメットを付けたサービスホールからエンジンルームへ。
ピンクの線が配管。青緑の◯がクリップを取り付けた位置。
運転席側
助手席側
クリップはこの様に。
よく見ると浮いてるけど
これで留まっている。
上の運転席側、助手席側の写真の黄色い◯の所は、ブレーキラインを留めているブラケット。
ブレーキラインの隣に空きの穴があったのでここを利用することにした。
グロメット、外径19/32吋(約15.08mm)、内穴径7/16吋(約11.11mm)で無理やり突っ込もうと思ったが
かなり無理があったので、90°分ほどカットしてチューブと一緒にムギュと突っ込んだ。
チューブはいい具合に硬めなので潰れることなく、しっかりと固定できた。
エンジンルーム内運転席側
右タイヤハウスのサービスホールからエンジンルームへ引き込み。
そのまま最短距離でエンジンブロックの後ろ側に渡してしまってもよかったが
ステアリングコラムロッド(可動部品)が下を通っているので
ここは丁寧にサービスホールから一度上に立ち上げボディ脇を通して、
ブレーキサーボ下から、クラッチマスターシリンダーにある
ブレーキ配管のブラケット経由でエンジンブロックの後ろ側へ取り回した。
細かい写真がなくて申し訳ない。
青緑の◯の所にこのようなクリップでボディパネルを留めているボルトと共締めした。
エンジンルーム内助手席側
左タイヤハウスのサービスホールからエンジンルームへ引き込み。
こちら側は、ターボチャージャーやエキゾーストパイプなど熱を持つものが多いので
運転席側と同じくサービスホールから一度上に立ち上げボディ脇のブラケット裏を通して
ヒーターマトリクス下を通し、ヒーターホースに沿わせるかたちで
エンジンブロックの後ろ側へ取り回した。
こちらも細かい写真がなくて申し訳ない。
青緑の◯の所。その先にもう一箇所。
ヒーターホースにチューブを沿わせる為に
イレクターパイプのジョイント部品を使用。
太さ合わせの為にゴムシートを挟み込んだ。
最終目的地・エンジンブロック後ろ側
エンジンブロック後ろには
・フロントデフ
・トランスミッション
・トランスファ
のブリーザーチューブの出口3本が集合している。
この位置がブリーザー出口に適しているのかは定かではないが
一応、スイベルハウジングのブリーザも同じくここまで引き回した。
ここまで、持ってこなくても良いとは思うが。。
スイベルシール交換 ついでにグリスが減る原因もの記事の最後で触れているが
スイベルグリスの減少がこれで解決できるとは断言できない。ただ事実として走行直後にスイベルハウジングのフィラープラグを外すときにプシュッとなったので
ハウジング内の内圧が上がることは間違いない。とは言うものの設計の段階でもここの内圧が上がることは想定されているだろうし
それでもブリーザを設定しないのは設けるほどの事でもないかもしれない。
いずれにしろ、内圧開放の機構は無いよりは有った方がよかろう。というあいまいな結論で。。
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