このサイトは主に ランドローバー・ディフェンダー110(2005年Td5)のメインテナンスや改良などの情報サイトです

silver line
L.O.F クラッチペダル アシストスプリング
重~いクラッチを45%(80%)軽~く 

  

  

silver line

 この記事は2005年式のTd5ディフェンダーで行ったものです。同じディフェンダーでも、年式や形式、同じ年式でも微妙に仕様が違ったり
使用している部品番号が違ったり、新しい部品番号に変わっていたりしますのでご注意ください。

silver line
     lof
L.O.F Power Pedal Assist Spring

-L.O.F CLUTCHES サイトから抜粋-

 ディフェンダークラッチペダルって重いですよね?
革新的なPOWERspringペダルキットです。
ペダルの重量を大幅に軽減する、手頃な価格で費用効果の高いペダルアシストスプリングを設計しました。
Land Rover Owners International Magazine に掲載されました!
これは、オーバーセンタースプリングが取り付けられたランドローバーのTDCI車両よりも
45%強力に軽減されます。
-OEMブランドの「ペダルアシストスプリング」より45%軽減されます。
-スプリングがまったくない場合では80%軽減されます! (TD5 / 300Tdiなどのレトロに取り付けた場合)

 ディフェンダーTd5のクラッチはクソ重い(300Tdiもか?)。ある程度慣れはするものの、時には足がつりそうになることもある。
なに?!80%軽減? ほんとかー? レビューを見る限り皆さん驚きと共に感謝している。たった25£でそんな効果が得られるのか?
本国から取り寄せて取り付けを行った。取り付けの難易度は如何に!?効果は如何に?

2021.05.30 一番下に追記あり

silver line
まずはL.O.F CLUTCHES サイトで取り付け方を予習する

      ・L.O.F CLUTCHES L.O.F Power Pedal Assist Spring
      https://lofclutches.com/shop/clutches/pedal-assist-products/l-o-f-powerspring-pedal-assister-kit/
      ・YouTube Heavy Defender Clutch Pedal? LOF POWERspring fitting video, make that Land Rover clutch lighter!
      https://www.youtube.com/watch?v=NWqrCV8MGsk&t=4s
サイトでは、ロングノーズのロッキングプライヤーの使用を勧めている。REEはロングノーズのロッキングプライヤーは持っていない。
You Tube動画ではレンチを使わずとも親指でできると言っている。

クラッチペダル
(REEの車輌は初めてクラッチマスターシリンダー交換の作業時にこの部分の内装防音シートを撤去してある)

作業にかかる時間が5分~10分と書いてあるので、クラッチペダルボックスをエンジンベイに取り付けたままの状態で作業する事を前提に説明されている。
しかしペダル周辺のスペースが狭いので作業が困難になるのではないかと思い、REEはクラッチペダルボックスを外して作業した。
クラッチマスターシリンダー交換を参照)
が、もしかするとこのままの状態の方がボックスが固定されていて作業がし易いかもしれない。

silver line
取り付け可能条件
アーム形状     

 ↑ 取り付けには、このタイプの
アームにU字型ブッシュ、ボックス側にハット型ブッシュの
取り付け部のあるクラッチペダルボックスが必須となる。
U字鋼のアームのクラッチペダルボックスの場合は
このタイプのボックスに交換すれば取り付けることができる。   
  

コイルスプリング
オーバーセンタータイプ

 左のストレート型スプリングのタイプからだと、80%軽減されるということか?
このストレート型スプリングは不要になる。
 右のオーバーセンタースプリングタイプからだと、45%軽減される。
ナイロンブッシュは再利用してもよいが、センターのU型ブッシュは純正と同品。
2つのハット型ブッシュは純正品と比べてみると
ツバ部分が少し厚めに改良されているようだ。


ブッシュ類の取り付け

↓ここからはクラッチペダルボックスを取り外した状態での作業だが、エンジンベイに取り付けたままでも作業自体は変わらない↓

ブッシュ挿入
ブッシュ挿入
ブッシュ挿入

 You Tube動画では、U字型ブッシュは破損しやすいので注意するように促している。
もし破損してしまったらL.O.F CLUTCHESへメールで要望すれば無料で届けてくれるとの事。
まず、ハット型ブッシュを左右の穴に取り付ける。プライヤーを使って注意深く押し込む。
難なく押し込むことができる。(手でも押し込むことは出来そうではあった)


ブッシュ挿入
   
ブッシュ挿入

 次にセンターのU字型ブッシュを取り付ける。破損しやすいと言うので慎重に。
You Tube動画の彼は、左の写真の様にLOFのトーションスプリングを使用して取り付けているが
これが、全く上手くいかない。スプリングの輪っかに指を入れ引っ張るも、形状から力の方向がずれて入ってくれないのだ。
結局は右の写真の様に、同じ径くらいのドライバー的なものを使用したら難なく挿入できた。意外にキツく作られている。


トーションスプリング取り付けを行う前に
クラッチペダルボックス

 トーションスプリング取り付けに際して、クラッチペダルの位置がキーとなる。
いちばん踏み込まれた状態が取り付けし易いので
クラッチペダルの踏み込み最終位置を規制する為のバンプストップボルトを最大限緩めた状態にする。
17mmのレンチを使用して筐体側のロックナットを緩めるとバンプストップボルトが手でも緩められるようになる。
するとクラッチペダルがいちばん踏み込まれた位置にできるのでトーションスプリングを取り付けし易くなる。
というか、これをやらないと人間の力ではまず取り付けは不可能と思う。
このバンプストップボルトにはクラッチペダルボックスがエンジンベイに取り付けてある状態でも
エンジンルームのクラッチボックス前面にあるので容易にアクセスできる。


タブ

 取り付けの説明では元のコイルスプリングを引っ掛けるタブを取り去る。とある。
確かに取り付け易い位置にアームを置くと、左右の穴とドンピシャにこのタブが位置することになる。
REEは万が一どうしても取り付けが出来なかった場合に備え、元に戻せる様に曲げるだけに留めて置いた。
取り付けの説明でも、必須ではないが取り付けが楽になる と書いてある。
結論を先に言ってしまうが、この状態でも何とかトーションスプリングの取り付けは可能だ。

つっかえ棒

 トーションスプリングの取り付けはクラッチペダルを最後まで踏み込んだ状態で行う。
クラッチペダルボックスをエンジンベイに取り付けた状態で作業をする場合はこの様につっかえ棒で固定する。
この写真のつっかえ棒は、以前引っ越し屋が置いていったダンボールハンガーラックの棒(長さ505mm)。
強度は抜群で先端が適度に柔軟なので丁度良く、クラッチやブレーキのエア抜きの際はいつもこれを使用している。
こんなおあつらえ向きなモノでなくても、長さ500mm程度の、適当な強度の木や鉄の棒で良いと思う。


今回の最難関! トーションスプリング取り付け 根気と努力と忍耐が必要!?
トーションスプリング

 トーションスプリングはこの向きでセンターのブッシュにはめ込む。
ここからトーションスプリングの先端をハット型ブッシュへ通すのだが
これが恐ろしく固い!
取り付けの説明には、ロングノーズのロッキングプライヤーを使用しているが
You Tube動画の彼は工具を使わず、親指だけで両先端をハット型ブッシュに挿入している。
「私は親指でやりました。他に何も使用していません」とあっさり言っているが
それを参考に親指でやるも、ギリギリの所で届かず、、いや、これ無理でしょ。。
You Tube動画の彼は怪力の持ち主です!


この先は完成までトーションスプリングと格闘していたため写真を撮る余裕はありませんでした。。

 その後、普通のロッキングプライヤーを使うも、残したタブがあたり上手く穴へ導けない。確かにタブが挿入の妨げになっている。
説明通り、先端が細いロングノーズのロッキングプライヤーがあると上手くいきそうな気がするが、手持ちに無い。
気を取り直して何度も親指で10回は試みた。もう親指先端が痛いが、渾身の力を込めうりゃ~!と、トーションスプリングの先端が入った!
そーっとそーっとプラハンマーで注意深くコンコンとしてしっかりと穴に収まる。格闘した時間は1時間を裕に超えた。
もう片方は普通のロッキングプライヤーを使いどうにか先端が穴に入り、またプラハンマーで注意深くコンコンと。
結局のところ、片側は無理だろうと思っていた親指で、もう片側は無理だろうと思っていた普通のロッキングプライヤーで挿入できた。

トーションスプリング

こちら側は親指で

トーションスプリング

こちら側はロッキングプライヤーで


 この作業をクラッチペダルボックスがエンジンベイに取り付けられた状態で行うのは本当にできるのか?
むしろ狭いが故に、身体を預けられて力が入れ易い? かどうかはわからないが、その状態で取り付けに成功している例があるのは事実。
だけど、根気と努力と忍耐、そしてもう一つ I CAN DO IT ! という根拠なきプラス思考が必要。

 海外のフォーラム掲示板でも皆これに悪戦苦闘している。その中で有効な手段で成功している例があった。
万力にトーションスプリングを挟んで圧縮し、タイラップで固定する。この状態でクラッチアームに取り付けてから、穴に挿入しタイラップを切断する。
という作戦。このやり方は楽に作業をする成功法の一つかもしれない。が、万力で圧縮中はかなりのテンションが掛かるので万が一外れた時は危険かも。


  

   取り付け最終作業
  悪戦苦闘の末トーションスプリングの取り付けが終わったら

・クラッチペダルボックスをエンジンベイから外して作業した場合
 バンプストップボルトを締め込み筐体側のナットで固定する。 クラッチペダルボックスを元に戻してフルードを追加し入念なエア抜きが必要。
                              (エア抜き作業はクラッチマスターシリンダー交換後半を参照)
・クラッチペダルボックスをエンジンベイから外さず作業した場合
 バンプストップボルトを締め込み筐体側のナットで固定する。 クラッチペダルを固定しているつっかえ棒を外す。

silver line
取り付けが終わったらまず確認した方がよいこと
エンジンベイ
 

確認とは、この段階でペダルを踏み込んだ状態で戻ってこない場合があるかもしれない。ということ。
You Tube動画の彼は、これはよくあることだ、と前置きし
「もし戻ってこないならバンプストップボルトを締めて、ペダルが行き過ぎるのを防げばよい」と、言っている。

 REEの場合、エア抜きの為に固定していた「つっかえ棒」を外した直後はペダルが戻ってこなかったが
その後、次の項で行うプッシュロッドの調整を何度かしているうちに、マスターシリンダーの油圧が安定したのか
バンプストップボルトを完全に緩めた状態であってもペダルが戻らなくなることはなくなった。

 REEの手持ちのクラッチマスターシリンダーは3つあるのだが、それぞれ個体差が大きくあったりする。
シリンダー径が違ったり、プッシュロッドの長さが違ったり様々。まぁ純正のモノがスタンダードなのだろうが。
なので、「バンプストップボルトで調整」とも、「油圧が適正ならペダルが戻らない事はない」とか一概には言えないかもしれない。
それぞれの個体に合った調整方法でやるのがよいのではないかと思う。
ちなみに、REEが今回使っているのは納車時に付いていた純正のマスターシリンダーだ。

silver line
クラッチペダル調整
ペダル調整プッシュロッド
ペダル調整
写真は見えやすいようにペダルを半分ほど踏み込んだ状態
   
バンプストップボルト
ペダル調整
クラッチペダルボックス前面

基本的な調整方法は以下の通り (WorkshopManualより)

  1. マスタシリンダプッシュロッドのロックナット2個ゆるめる。 13mm薄口・14mm
  2. クラッチペダル下端と床との距離が140mmになるよう調整する。A⬅にするほど低くなり、➡Bにするほど高くなる
  3. プッシュロッドとマスタシリンダピストンとの間に
    1.5mmの遊びができるようにマスタシリンダプッシュロッドを調整する。
  4. プッシュロッドのロックナットを締め付ける。 13mmナイロン
  5. クラッチペダルの作動を点検し、抵抗を感じるまでに最低6mmの遊びがあることを確認する。トーションスプリングに規制され遊びはできない

このプッシュロッドの調整と、バンプストップボルトの組み合わせで
ペダルの高さ、踏み込むストローク、踏み込んだ時にクラッチが切れ、そしてクラッチが繋がるタイミングなどを調整する。
バンプストップボルトは締めすぎるとクラッチが切れなくなる)
今回のLOF POWERspringペダルキットの取り付けでは、加えて踏み込んだペダルがちゃんと元に戻る調整も含まるわけだ。


  プッシュロッドの調整にあると便利
13mmと14mmの薄口スパナを加工したもの。無くても出来ないわけではないが、これだと楽に作業できる。

スパナ改
スパナ改

REEのセッティング 参考まで
セッティング
プッシュロッド
セッティング
バンプストップ
セッティング
ペダル

プッシュロッド:シリンダーのブーツ先端からリンクの端まで約65mm。ナイロンナットは一応1mmのアソビを持たせた。(規定は1.5mm)
バンプストップ:クラッチペダルボックス筐体から、ボルト頭まで約22mm
ペダル:マットを外した床から約140mm。基本の高さにしたが、やはりこれがいちばん違和感がない。

 このセッティングは何度も何度もカットアンドトライで出したセッティング。
後述するが、このLOF POWERspringペダルキットはちょっとクセがあって、そのクセはセッティングによって除去することは出来なかった。
このセッティングで、踏み込んだクラッチペダルが戻ってこないという現象は起きない。
ストロークは多めではあり、クラッチのつながるタイミングは、いちばん踏み込んでから少し戻すとつながる今までと大きく変わらない操作感とした。
幾つも試した中で導き出した、自分の中でいちばん違和感なく操作できるセッティングである。

silver line

80%軽減するという効果は如何に?! クセがある?
手押し
  

  さて、効果の程は? 80%軽減とは?
 すごっ!かるっ!! 声が出てしまうほど軽くなった。
たった25£の一つのスプリングだけでこれほどの効果があるのはコスパ良すぎ!!
 どれほど軽くなったかと言うと、
手で普通に押し切ることが簡単にできてしまう。
Td5のストレートスプリングからの交換なので80%軽減ということになるのだろうか?
そもそもパーセントで言われてもわからない。でも、きっとそのくらい軽減されている。
 海外のフォーラム掲示板で誰しもが間違いなく勧めていたのは納得できる。
取り付けの難易度が高いので、そこを乗り切らなくてはならないが
そこを越えれば得られる価値は大きい。


  ただし。。若干のクセがある。
 クセとは、ペダルを踏み込んで戻すときにトーションスプリングによる「跳ね返り」みたいな感触があるということ。
これは、ペダルの高さなどで回避できないか色々と試してみたが全く除去することは出来なかった。
何度も何度もカットアンドトライしてセッティングしたのは、これが理由である。

このクセ、海外のフォーラムでも数人が指摘している、、、と思われる。(英語に長けているわけではないので。。)
・~its definitely lighter but the tension seems to change suddenly depending on how high up the pedal is~
・Does your have a sharp increase of resistance towards the "top" of the pedal press like mine? など
多分この事を指摘しているのではないだろうか?
また、デンマークに住むディフェンダー乗りの有名Youtuber LIAN も動画の中で「Recoil Action」という表現で指摘しているが
「ちょっとした寝かしつけが必要な気がする」「しばらく使っている内に大幅に改善された」とも話している。
 REEも最初はかなりの違和感を持ったが、すでにその違和感に慣れてしまったのか、スプリング自体が少し馴染んだのか
2~3日経ってさほど気にせずに運転できている。(まだ跳ね返る症状がなくなったわけではない)

 このクセは、人によっては許容できないかもしれない。なので100%の気持ちでオススメすることは出来ない。
けれども、そのクセがあったとしても余りある程の効果にREEとしては大満足。なのでオススメ度は95%かな。
15年ディフェンダーに乗ってきてナンバーワンのモディファイとなったのは間違いない。


追記2021.05.30

2001年式のセンタースプリングの付いたディフェンダーと比べてみた

 オーバーセンタースプリング(純正?OEM?)タイプと L.O.F clutch power spring とクラッチの重さを比較できる機会があった。
結果、純正(OEM)のオーバーセンタースプリングタイプとL.O.Fと、45%軽減というほどの大きな違いを感じられなかった。
若干は軽くなった気はするが、ほとんど変わらないと言うのが正直な感想。
よって、この L.O.F clutch power spring は、ストレートタイプのスプリングが付いたディフェンダーからの交換なら効果絶大だが
もしかするとオーバーセンタースプリングタイプからの交換だと、あまり効果を体感できないかもしれない、と思った。
 また、ペダルを踏み込んで戻すときの「跳ね返り」の様なクセは、2001年式のオーバーセンタースプリング(純正?OEM?)タイプの付いている
ディフェンダーでも同じくある事がわかった。このタイプのスプリングはこのクセは回避できないのかもしれない。