このサイトは主に ランドローバー・ディフェンダー110(2005年Td5)のメインテナンスや改良などの情報サイトです

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クラッチマスターシリンダー交換
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 この記事は2005年式のTd5ディフェンダーで行ったものです。同じディフェンダーでも、年式や形式、同じ年式でも微妙に仕様が違ったり
使用している部品番号が違ったり、新しい部品番号に変わっていたりしますのでご注意ください。

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クラッチマスターシリンダー
  

 1ヶ月ほど前に運転席の足元に液体の垂れた跡を発見。ちょっと早すぎないかぁ??!!
そう、ディフェンダーの一番多いとも言える定番中の定番トラブル、「クラッチフルード漏れ」
今のところ走行に支障はないが、そう言えば最近シフトの入りが渋くなった気がする。
早いうちに手を打たねば。と言うことで、クラッチマスターシリンダーを交換した。

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クラッチマスターシリンダー
  

 クラッチマスターシリンダーはVINやエンジン形式によって幾つか種類が有る。
PartsCatalogueで調べてみると、REEの車輌に適合するのは、品番 STC100410
2018年現在、品番はSTC500100になってます
海外ネットオークション「ebay」で社外品が£12弱。日本円にして3000円しない。
送料込みでも£16.50弱。4000円でおつりが来る。
早速「Buy It Now」。1週間くらいで届いたのが左の写真。「BRITPART」。
もちろん新品。今回、リペアキットより先にこちらが手に入った為、マスターシリンダーごと交換する事に。
元のは後でリペアして予備としてストックする予定。

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クラッチマスターシリンダーアッセンブリ取り外し 車内編
クラッチマスターシリンダー

 運転席ドアを開いた所にある
防音シートを押さえている
縦プレートの3本のビス(PZ#2)を外す。
一番上はドアセンサースイッチと
共締めになっている。
 

   
クラッチマスターシリンダー

 ドアセンサースイッチを外す。
ドアセンサースイッチを 引き出すと、
平型端子で接続されている。
端子のつまみを引きながら抜くと外れる。
そして縦プレートを外す。
 

   
クラッチマスターシリンダー

 クーラーパネルの
左右脇のそれぞれ
2本のビス(PZ#2)
中央にあるビス(PZ#3)
を外し、エアコンパネルをずらす。
めんどくさいからずらすだけ。


クラッチマスターシリンダー

 クーラーパネル下にある防音シートを
支えている 矢印の黒いプレートを外す。
この為だけにクーラーパネルをずらすが、
やり方によってはクーラーパネルを
ずらさなくても出来ると思う。
クーラーパネル隙間から見ると
黒いプレートの左と中央にビスがあり、
スピーカーを外した穴から
覗くともう一つビスがある。
計3本(PZ#2)外し、
車輌進行方向に引くとプレートが外れる。
ちなみにこのビスは位置的に超外しにくい。

   
クラッチマスターシリンダー

 こんなプレートが外れる。
クーラーパネルを全部取り払えば
このプレートは簡単に外せるが
見回した限りクーラーパネルを
全部外すのは大変そうだったので、
頑張って少しの知恵と沢山の根気で外した。
このプレートさえ無ければ、
もっと楽に作業が進んだはず。
実際防音シートはこのプレートに挟まっておらず
半分ダラーンと垂れ下がっていた。
このプレートは要らないよなぁ。
 

   
クラッチマスターシリンダー

 防音シートを結構無理矢理下に
引きずり剥がして、
クラッチペダルブラケット6本のボルトを外す。
(ソケットサイズは
     1/2インチ13mmでも一応大丈夫)
これも奥の2本は超外しにくい。
あまりに外しにくいので
防音シートにジョキジョキと
切り込みを入れてしまった。
後でどうにかしよう。
もしくは邪魔なので切り取っちゃおうか。。

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クラッチマスターシリンダー

 クーラントサブタンクに繋がってる
このホースを 外しておくと、
ちょっとだけ作業がし易い。
大きな手間ではないので
外すことをお勧めする。

   
クラッチマスターシリンダー

 クラッチペダルのゴムラバーを外す。
アッセンブリを抜くときに
コレが付いていると抜きにくい。

 

   
クラッチマスターシリンダー
クラッチマスターシリンダー

 マスターシリンダーの
リザーバタンク内のフルードを抜いておく。
REEは注射器を使った。
使い終わったシャンプーのポンプを代用してる
ひともいるが、なるほどそれでも十分。

クラッチマスターシリンダー
クラッチマスターシリンダー

 マスターシリンダー上部にある
クラッチペダルセンサーの コネクターを外す。  
センサーの上部にある金属のピンを
ラジオペンチなどで上に引き抜いて、
コネクタを引っ張ると抵抗なく外れる。

クラッチマスターシリンダー
クラッチマスターシリンダー

 マスターシリンダーアッセンブリの蓋、
矢印の4本のビス(PZ#2)を外し、
コネクタハーネスと金属のパイプを
留めているブラケットをずらす。
写真はコネクタハーネス側をずらした画。

   
クラッチマスターシリンダー

 クラッチペダルセンサー脇にある
パイプユニオンをゆるめパイプを外す。
13mmのスパナを使用するが、結構深く入っていて、
更に周囲が邪魔をして
スパナの振り角が少ないのでかなり根気が要る。
パイプユニオンが外れた状態でペダルを操作すると
マスターシリンダーからフルードが吹き出すので栓をする

--と Workshop Manualに書いてあるが、
何で栓をすべきか。。。
REEは不織布で栓をしてみたが、
アッセンブリを引き上げるときペダルが
動きポンプが作動しその圧で
あっさり外れてしまってあまり意味なかった。
ちなみにブレーキフルードは塗装を侵すので注意!

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クラッチマスターシリンダー 交換編
クラッチマスターシリンダー

 やっとの事で外せた
クラッチマスターシリンダーアッセンブリ。
漏れたフルードでヌメヌメ状態。
このアッセンブリからマスターシリンダーを外す。
ボルトは2本、1/2インチ13mmでも一応大丈夫)
共回りしてしまうのでレンチは2本必要。
後でペダルの調整を行うが
外す前にシリンダープッシュロッドの
ナットの位置をよーく覚えておくといい。


 

   
クラッチマスターシリンダー

 新旧のマスターシリンダー。
殆ど作りに変わりはない。
センサーを付け替える。
センサー外しは9/16inch のレンチを使用。
9/16inchは14mmと15mmの間
もしくはその下の縦長部分は16mm。
センサー脇のパイプの刺さる部分は
締め付けた時に真横に向くようにしておく。
ちなみにセンサーには
シーリングワッシャーらしき物が。
これはシールの用途もあるかもしれないが
ユニオンパイプの高さ調整シムと思う。
入っていた位置と枚数を覚えておいたほうが良い。

   
クラッチマスターシリンダー

 取り外しと逆の手順で
マスターシリンダーを
アッセンブリに固定し、
元の位置に取り付ける。
クラッチペダルセンサーの
コネクタ、コネクタハーネスと
金属のパイプを留めている
ブラケット、パイプユニオンを
元に戻す。全て元に戻して確認したら、
フルード補充とエア抜き作業。
アッセンブリの蓋は
ペダル調整の為に開けておく。

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ペダル調整
クラッチマスターシリンダー

 実はREEは外すときに覚えておいた状態にして、このペダル調整をやらなかった。
今の所これで違和感や不具合は特に無い。Workshop Manualの手順を下記に抜粋しておく。

  1. マスタシリンダプッシュロッドのロックナット2個ゆるめる。
  2. クラッチペダル下端と床との距離が140mmになるよう調整する。
  3. プッシュロッドとマスタシリンダピストンとの間に
    1.5mmの遊びができるようにマスタシリンダプッシュロッドを調整する。
  4. プッシュロッドのロックナットを締め付ける。
  5. クラッチペダルの作動を点検し、抵抗を感じるまでに最低6mmの遊びがあることを確認する。
  6. 新品のガスケットを使用してペダルボックストップカバーと
    コネクタブラケットを取り付けスクリュで締め付ける。
  7. コネクタとハーネスクリップをペダルブラケットに接続する。
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クラッチフルード補充とエア抜き 準備編
クラッチマスターシリンダー
        
クラッチマスターシリンダー

 まずスレーブシリンダーの場所。スレーブシリンダーはクラッチハウジング前方左側にある。
車輌下からよりエンジンルームからの方がアクセスし易い。
エンジンルーム左側から覗くと、エキゾーストパイプの上辺りにある。スレーブシリンダーのブリーダープラグには
赤いダストキャップが付いているのですぐにわかるだろう。 

クラッチマスターシリンダー

 スレーブシリンダーの赤いダストキャップを外して
エア抜きスクリューにメガネレンチをかける。
8×10mm、10×12mmのフレアナットレンチは
持っていたのだが、サイズはどうやら11mm
このサイズのフレアもメガネも
持ち合わせていなかったので 一番近い
インチサイズ7/16インチのメガネレンチを使用。
大きなトルクをかけないので
一応コレで大丈夫だった。
実は11mmでもちょっと緩い感じ。
Workshop Manualにも 明記されていないので
ホントの所サイズが解らない。
<参考>7/16インチ=11.11250mm

   
クラッチマスターシリンダー
クラッチマスターシリンダー

 そして、ここで登場!
オリジナル ワンマンブリーダー。
って程のモノでは無いけど、内径4mmの    
シリコンホースに
ワンウェイバルブを付けただけのモノ。
ブレーキラインのエア抜きにも使える。

   
クラッチマスターシリンダー

 このオリジナルワンマンブリーダーを
スレーブシリンダーの ブリーダープラグに
ブギュっと挿す。
ワンウェイの向きを間違えないように。
スレーブシリンダー側からポリ容器へ流れる方向。
ワンウェイバルブは
金魚屋さんに売ってるのでも 多分大丈夫。
REEのは工具店STRAGHTで
購入したアルミ製のもの。
ブリーダープラグ直後はホースを
上向きにしておく。
ワンウェイバルブまでのホース内の
気泡をシリンダーに戻さないため。


クラッチマスターシリンダー

 ブリーダープラグに接続した
ワンマンブリーダーのシリコンホースの
行く先は適当なポリ容器。

   
クラッチマスターシリンダー

 リザーバタンクにフルードを補充する。
ディフェンダー(Td5)は
リザーバタンクの位置が悪くフルードを
入れにくいのでコレを使うと漏れ無し楽々。
ブレーキフルードリフィーラー。

   
クラッチマスターシリンダー

 フルードをたっぷりと入れておく。
逆さまにしてリザーバに差し込んでからから
コックをひねれば補給されるのでこぼれる事がない。
リザーバタンクに固定も出来るが
特に固定せずとも安定して自立している。


----------これでフルード補充とエア抜きの準備が整った。----------

MEMO:今回Workshop Manualのエア抜きの方法とは違うやり方で行っています。

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クラッチフルード補充とエア抜き 実践編
クラッチマスターシリンダー

 リフィーラーのコックを開いて
フルードの補給開始。
マリオットのびんの法則で、
もちろん溢れる事はない。

   
クラッチマスターシリンダー

 スレーブシリンダーの
エア抜きスクリューにかけた
メガネレンチを緩める。
沢山緩める必要はない。
60°くらいで充分。

   
クラッチマスターシリンダー

 クラッチペダルを
一定の力でゆっくりと数回踏む。
(ブリーダーが開いている時は手でも押せる程軽い)。
放すと勝手に戻る。これを数回行う。
ゆっくりやらないと気泡が見えづらい。


クラッチマスターシリンダー
 ⇒ 
クラッチマスターシリンダー

 ブリーダープラグ直後の
シリコンホース内に 気泡のない
フルードが連続して流れるようになったら
エアが混入していない証拠。
この作業は終了。
WorkshopManualには
ペダルを踏んだ状態で
ブリーダーを締めるとあるが、
ブリーダーに気泡が
戻って行かなければ大丈夫。

   
クラッチマスターシリンダー
 ⇒ 

 ホース内の気泡が
スレーブシリンダーに戻っていない事を確認して
クラッチを踏み込んだ状態で
ブリーダーのエア抜きスクリューに
かけたメガネレンチを締める。
一応WorkshopManualには
締め付けトルク9Nmと有るが
ソケットがかけられないので程々の加減で締める。
この場合のトルクレンチの使い方→こちら
 

   
クラッチマスターシリンダー

 最後にマスターシリンダーの
リザーバにフルードを規定量まで
調整してキャップを閉じて終了。
リフィーラーを外す時には
コックの締め忘れに注意!
その他フルードの垂れにも注意。
必ずウエスを添えてやるべし。


 


 今回撮影も兼ねて、ビデオカメラでフルードの気泡を確認しながらエア抜きを行った。
ビデオOUTを車載テレビに入力して画面を見ながら行った。
でもやはり、クラッチもブレーキもエア抜き作業は二人でやった方が確実だし楽しいはず。

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作業終了・その後
クラッチマスターシリンダー

 何だか恐ろしい色。
右の写真と比べて欲しい。
こんなフルードで
今までクラッチを操作していたのだ。
後で取り外したマスターシリンダーを
ばらしてみるが、中身がどんなに
なってるのかある意味楽しみ。



 

   
クラッチマスターシリンダー
 ⇒ 

 新しいマスターシリンダーとフルードで
クラッチの感覚が激変。
所が、今一悪い方向に変化してしまっている。
まだ、エアが残っているのか。。。
取り敢えずちゃんと切れるし、
シフトの入りも悪くない。
異音も無くなったし。。。
この感覚が本来の感覚なんだろうか。。
やっぱWorkshop Manual通りにやりべきか。。。
要経過観察。
場合によってはもう一度フルード交換かな。

   
クラッチマスターシリンダー

 このクラッチトラブルはまた起きるだろうし、
その時に作業しやすいように
結局黒いプレートは戻さず、
防音シートもジョキジョキと
切り取ってしまった。
後でボルト部分だけ
切り取って貼り付ける予定。
次回はエアコンパネルを
ずらす作業から開放される。

 


後日、エア抜きをもう一度行ったところ、クラッチのフィーリングがとてもよくなった。やはり、エアがどこかに残ってた模様。

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一応Workshop Manualのエア抜きの方法を抜粋しておきます。

  1. クラッチシステムリザーバの上限まで(フルードを)補充する。
  2. 車輌全部を持ち上げて、スタンドで支える。
  3. ダストキャップを取り外し、エア抜きチューブをエア抜きスクリュに接続する。
    固定されていない方の先端を透明な容器に入ったブレーキフルードの中に沈める。
  4. エア抜きスクリュをゆるめ、クラッチペダルに一定の踏力を加えながら最後まで踏み込む。ペダルを離し、自然に戻す。
  5. きれいで気泡のないフルードが容器に流れるまで上記の手順を繰り返す。
  6. ペダルを踏み込んだままエア抜きスクリュを9Nmで締め付ける。
  7. リザーバを点検し、上限まで補充する。
  8. セイフティスタンドを外し、車輌を下ろす。
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マスターシリンダーのリペアキットを使った
マスターシリンダーのリペアのページもご覧ください。