ユーザー車検に挑戦というページを編集してから10年ほど経ち、その間にも何度もユーザー車検を受けているが
その都度ちょこちょことやり方が変わっていたりする。 今回2019年12月にユーザー車検を受けたのを期に「令和版」として改編することにした。
普通自動車の車検。
以前は「前整備/後検査」という具合に、点検整備をして、点検整備記録簿に全てを記入してからでないと車検を受けられなかった。
なのでユーザー車検となるとちょっと敷居が高かったが、平成7年の道路運送車両法一部改正による規制緩和で
点検整備を車検の後にすること「前検査/後整備」も認められた為に、ユーザー車検を受けやすくなったとも言える。
ただしこれは、ユーザー自身が車両の管理責任をとることを前提としての規制緩和であって点検整備を車検後に必ずやると言うのが鉄則。
点検整備を免れた訳では決してないのだ。
このページでは、多摩自動車検査登録事務所を例にして普通自動車のユーザー車検(継続検査)について紹介する。
- ユーザー車検を受けるにはまず予約が必要。
車検は、車検証の車検満了日の1ヶ月前から、その満了日までの間に予約可能。
(1ヶ月前でも、有効期限は満了日から2年後になるので損することはない)
- 予約は、以前は電話予約もできたが、現在はインターネットのみ。(軽自動車は電話予約あり)
国土交通省自動車検査インターネット予約システム。 アドレスはhttps://www.reserve.naltec.go.jp/web/ap-entry?slinky___page=forward:A1001_01
まずはこのページでユーザー登録をする。そのユーザーID番号と登録したパスワードで予約ができるようになる。
全国の自動車検査登録事務所や運輸支局が集約されていて、翌日から約2週間先まで予約出来る
この予約システムの説明は難しいことは無いと思うので割愛するが、予約の際は車検証を手元に。
- 以前は 仮登録→本登録 という手続きを踏んだが、2017年4月1日以降、予約の際に「車台番号」を入力する事により
仮登録の手順がなくなった。 車台番号を入力しないと仮予約となり予約が完了しない。
予約登録手続きの最後の予約登録情報に予約番号があるので、これを写メるなりメモるなり記憶するなり。
車検証
平成27年4月より、納税確認が電子化になり
車検時の提示が省略できるようになった。
(軽自動車と小型自動二輪については必要)
納税してから3週間を経過していない
その他条件があるようなので一応持っていく。
(一番右側だけで可)
自動車損害賠償責任保険証明書
- ヘッドライト(ハ・イロー)、スモール、ウインカー、ハザード、ブレーキ、リバースランプなどの球切れがないか。
- 下回りのオイル油脂類の漏れはないか。
- ボールジョイント、ドライブシャフトブーツ類の損傷、グリス漏れはないか。
- タイヤの傷、空気圧チェックとホイールナットの緩みはないか。
- ウォッシャー液がちゃんと出て、ワイパーでちゃんと拭き取れるか。ワイパーゴムが損傷してないか。
- クラクションがちゃんと鳴るか。ファォーンとか一定に鳴らないのはNG。
- アルミホイール、マグネシウムホイール(軽合金ホイール)の場合JWLの刻印があるか。(スチールホイールは除外)
- 非常用発煙筒はあるか。電池式の場合電池が切れていないか。
- インパネに警告灯は点灯していないか。ひとつでも点灯していると、そもそもレーンにも入れない。
- 空車状態(積載物がないこと)
- エアバッグ、ブレーキ、ABS、エンジンチェック のアラームランプが点灯、点滅してないこと。
- エンジンがかかっている時に各種アラームが鳴り続けていないこと。
- 応急用のスペアタイヤを履いていないこと。
善良な人ならば無用な情報だが、交通違反の反則金を納付していない場合は継続検査を受けられない。
もし、万が一反則金の払いを忘れちゃってるなんて事があるなら、検査前にかならず納付しておく。
納付手続きからすぐに納付済みが反映されるかは定かではないので、早めに納付しておく方がよいかもしれない。
1. | 車検証 |
この様なA4版のクリップボード |
2. | 自賠責保険証明書 | |
3. | 自動車税納税証明書(一応) | |
4. | 認め印(三文判、100均可) 2023年12月現在不要だった。 |
|
5. | A4クリップボード(あると便利) | |
6. | お金(必要費用参照) | |
7. | 点検整備記録簿------------------------- | 車検後に点検整備をする場合は「整備は?」ときかれたら「車検後に整備します」と申告ればOK。 点検整備記録簿の提示を求められる事は、ほぼない。 事前に点検整備を済ませて記録簿に記入してあるならそれを提出すればよい。 ただし、事業用自動車と自家用大型貨物自動車に関しては 直近の3ヶ月定期点検実施状況を点検整備記録簿で確認される。 |
8. | ネットで予約した時の予約番号(一応) | |
- 自動車重量税 車検証の 「車両重量」 から算出。 https://annai-center.com/documents/juryozei.php
- 自賠責保険証書 継続車検の通常2年車検の普通車なら 24か月¥17650 25か月¥18160 など2023年12月現在
- 検査手数料 車検証の 「自動車の種別」 から 小型は¥1700 普通は¥18002023年12月現在
- 検査登録印紙 ¥5002023年12月現在
- 当日入手書類 自動車検査票・自動車重量税納付書・継続検査申請票 の3点で以前は¥30ほどだったが、2017年1月4日より無料となっている。
その他、不合格となった場合に近くの予備検査場(テスター屋)で調整するかもしれない費用。
また、確実に一発合格したい場合は車検場近くにある、予備検査場(テスター屋)で事前に予備車検整備を受けるとよい。
予備検査場(テスター屋)は車検を受ける施設の近所に必ず何件かあるので調べてから行くとよい。
料金はテスター屋によって違うと思うが一般人だと一式3000~5000円位。(お得意様事業者だと少し安いらしい)
自分では出来ないサイドスリップの調整やヘッドライトの光軸調整など単独の調整だけなら、2000~3000円位。
構内の駐車スペースに車を止める。
以前は総走行距離を記入するために距離をここで確認していたが
現在総走行距離の記入は不要。
受付は8時45分。到着したのが8時10分くらいだったが
8時頃から書類などを購入できる窓口は開いていた。
まず、構内入って右側の建物に入り、重量税と検査手数料を支払う。
と同時に自動車検査票と自動車税納付書に印紙を貼ってくれる。
更に「継続検査申請書」もくれる。
自賠責保険に加入する場合。
構内から一度出て斜め向かい側にある建物で自賠責保険の手続きと支払い
いくつも入口があって迷うがどこも一緒。
代書屋も並んでいるが、書類記入が面倒な向きは有料でお願いする。
書類記入は簡単なので自分で記入することを強く勧める。
構内に戻り真ん中にある一番大きな建物「庁舎」に入る。
一番右の方の窓口付近に「ユーザー車検受付」と吊り看板がある。
そんな吊り看板1つでもとても安心できる。
2019年車検の時結構混んでいた。ユーザー車検の人が増えた気がする。
ここのテーブルに見本があるのでそれを見ながら①でもらった書類に記入する。
以下、3種類の書類別に記入例。
(2年前と記入の仕方が変わっていた。以下は2019年12月時の記入例)
全てボールペンで記入する
①車検証に記載の車のナンバー
②車検証に記載の原動機型式
③車検証に記載の車台番号
④記入不要(後ほどコースで確認される)
⑤検査手数料の印紙(最初の窓口で貼ってくれる)
⑥ネットで予約した予約番号
⑦本人であれば受験者の「本人」に○
代理人の場合は「代理」に○
代理人者の氏名、住所、電話番号
⑧車検証の使用者の欄に記載の氏名、住所、電話番号
(使用者が***の場合、所有者の欄に記載されているもの)
全てボールペンで記入する
①当日の日付 ②車検証に記載の車のナンバー
③車検証の使用者の欄に記載の氏名、住所、電話番号
(使用者が***の場合、所有者の欄に記載されているもの)
④車検証の「用途」の欄が乗用なら2年
貨物なら1年の所にチェックマーク
⑤車検証の「自家用・事業用の別」の欄に記載のもの
⑥印紙の重量税の額面(最初の窓口で記入してくれてあった)
⑦車検証の「用途」の欄が
乗用なら乗用自動車にチェックマーク貨物ならその下
⑧乗用の場合は車検証に記載されている「車両重量」
(「車両総重量」ではないので間違えない様に)
貨物の場合は車両総重量
⑨「継続」の「持込」にチェックマーク
⑩支払った重量税分の印紙(最初の窓口で貼ってくれてる)
①~④はえんぴつ、⑤⑦はボールペンで記入
①車検証に記載の車のナンバー
②車検証の「用途」の欄が乗用「4」、貨物なら「2」
③車検証に記載の車台番号の下7桁
④「3」自賠責提出
⑤車検証の「使用者」の欄に記載の氏名、住所
(使用者が***の場合、所有者の欄に記載されているもの)
受験者の欄は代行ならその氏名、住所
上と同じなら同上で可。
⑥押印(三文判、100均可)
⑦当日の日付
書類を全て書き終えたらユーザー車検窓口に提出する。予約の確認と書類を確認され「○番コースに並んで下さい」と言われるか
「はい、OKです」と言われるかして書類を返される。書類を持って車で1番から4番コースに並ぶ。 1、2コースは大型・小型 3、4コースは小型。
ちなみに四輪駆動車は3番か4番のみ。 ※ 不慣れな方は3番に並んでください。と書いてあった。
検査開始時間の午前9時の10分程前だったが
コースに車は既に4台位並んでいた。程なくして番が廻ってきた。
当然だが、カーラジオや音楽は切る。
そして検査官の指示が聞こえる様に窓は全開。
助手席側も空けておくと聞こえやすいかもしれない。
- 検査官に導かれコースを進む。「不慣れなんでお願いします」と告げると、笑顔で「わかりました!大丈夫ですよ」と検査官。
そして、以降付き添って都度指示をしてくれる。 - 取りあえず、検査ラインへ入る前に検査官が車を一回りして同一性の確認と外観検査。申請書の記載と車両が間違いなく同一であるか確認する。
- 次に、スモール、ヘッドライト(上下)、ウインカー、ハザード、ブレーキランプ、リバースランプの点灯検査が行われる。
運転席で検査官の指示通り点けては消しを行い、クラクションも確認される。 - ワイパーも動かし、ウォッシャーも出てちゃんと拭き取れるか確認される。
- ↑----------------------------------------一連の指示はすべてわかりやすい身振り手振りで指示される----------------------------------------↑
- 降車して自分でボンネットを開く。この間検査官が、総走行距離、シフトパターン表示(マニュアルの場合)、ステアリングの径、
ホーンマーク、シートの取り付け状態、非常用発煙筒などの確認。ボンネットが開いたらエンジンの形式を刻印で確認される。 - ディーゼル車の場合ここで排ガスの黒煙測定もしくはオパシメータ測定※。
以前までは降車するように指示され検査官がアクセル操作し、普段回したことない回転数領域まで回され測定されたが。。。
今回は自分でアクセルを踏むように指示された。多少の加減はできる訳だが、バカ正直のREEは結構回したら「あぁもーいいですよぉ」と笑われた。
2021年の車検では、ここで排ガスの検査は行わず、一通りの検査が終わった後1番か2番レーンに並びなおして排ガス検査を行った。
その際プローブを持たされて自分でマフラーにツッコミ、検査官がアクセルを煽って検査した。
※黒煙測定=PM( 粒子状物質 )含有測定。 オパシメータ測定=黒煙測定より精度が高い。
車輛の形式や年式などによって測定方法が変わる。
検査官の指示で次の検査ラインへ進める。
まず、指示通り車をゆっくり進めて、サイドスリップの検査が気が付いたら終わっていた。
ネットの情報では、時速5kmくらいで通過中はハンドルやブレーキ操作をしないことがコツらしかったが、そんなの意識せずに終わってしまった。
次に、ブレーキの検査。
ゆっくり車を進めてローラーの上にタイヤを乗せる。ギアをニュートラル、サイドブレーキを外すと、ローラーが回り出し
すなわちタイヤも回っている。前方の電光掲示板の指示で「ブレーキを踏む」。躊躇無く踏む!
今度はサイドブレーキの検査。電光掲示板の指示で「サイドブレーキを引く」。要領は同じ。躊躇無く引く!
次は、スピードメーターの検査。
ゆっくり車を進めてローラーの上にタイヤを乗せる。ローラー上で車が走り出すことは無いのは解っているのだけど
コレ結構緊張します。普通にアクセル走行する様にして、メーター読み 40km/h になった所で、パッシングする。
2021年の車検では、機械が変わったのかスイッチを持たされ、40km/h になった所でスイッチを押すシステムに変わっていた。
次に、同じ場所でヘッドライトの検査。左右ハイビーム、ロービーム。受光する機械が出てきて自動的に計測する。
この後、ガソリン車はこの場所で排ガスの検査が行われるが、ディーゼル車は検査ライン前に済ませているので、ここではやらない。
※ここでガソリン車の場合、一度排ガス検査記録を印字するために、自動車検査記録票を検査票リーダーに通す。
最後は下回りの検査
真ん中にピット穴の空いた所へ車を進める。「エンジンを切ってください」とか「ブレーキを踏んでください」とか指示され
その間ピットの下では検査官がハンマーでコンコンなど。オイル漏れ、各種ブッシュ類の損傷やグリス漏れもここで確認される。
2021年の車検では、向かいのモニターに指示が出てそれに従う様になっていた。
検査ライン最後の制御室に書類を持って行き、合格の確認をもらうと、庁舎の7番窓口に持っていく様指示される。
7番窓口で「合格されましたか?」と確認され、番号タグを渡され待つこと数分。
新しい車検証とステッカーをもらい、ユーザー車検は無事終了。
検査ライン前からラインに入って、車検証発行まで要する時間は15分から20分。
当日中 =当日に無料で検査を受けられるのは3回まで。つまりあと2回は検査を無料で受けられる。
最初を含めて3回目超えの場合でも、もう一度検査手数料を支払えば当日中に受けることができる。
予備検査場(テスター屋)で有料で調整なり整備なりをして再検査に挑む。予備検査場は大抵、車検場近くに何件かある。
整備なり調整をしたら、窓口に行って再検査の旨伝えると、検査ラインに並ぶことができる。 検査官に再検査であることを告げ、指示に従う。
後 日 =整備や部品調達に数日を要す、等の場合2週間以内に不合格箇所のみ再検査可。
この場合は窓口で「限定自動車検査証」(無料)を発行してもらい帰宅し、
・指定整備工場で整備・検査をした場合「限定保安基準適合証」を発行してもらい、「限定自動車検査証」と「限定保安基準適合証」の二点を
有効期限15日間(含当日)までに最寄りの運輸支局などに提出。二点の提出時には現車を持ち込む必要はない。
・認定整備工場や、自分で整備した場合は、有効期限15日間(含当日)までに現車を検査場に持ち込み再検査。手数料は¥1300。
2週間超=ふりだしにもどる。検査手数料のみを支払い(法定費用はそのまま利用できる)、最初からすべての検査を受けなければならない。
車検切れ無保険、もしくはその両方で公道を走行すると、刑事処罰の対象になる。車検が切れていると多くの場合自賠責保険も有効期限を過ぎている。
それで、もし事故でも起こした時には、しかもそれが人身事故だったとしたら。もう人生終了になりかねないので、絶対にしてはいけない。
車検が切れてしまったら
そのナンバーで公道を走ることはできないので仮ナンバーの申請をして仮ナンバープレートを借りる。
仮ナンバーは自賠責保険に加入していないと申請できない
仮ナンバー申請
・申請場所 = 市区町村役所(所により出張所でも取り扱いあり)
・必要なもの = 免許証、車検証(期限切れ)、自賠責保険(市区町村により当日からの有効期間を定められている場合あり)、
認め印、手数料(750円くらい)
・借りれる期間 = 市区町村により違うが、だいたい原則運行当日から3日~5日など。 返却は申請運行最終日から5日以内など。
・運行経路 = 該当車が現在置いてあるところから、目的地(車検を受けるところ)まで。 これ以外の走行は原則禁止。
・運行日 = 原則的に車検当日のみ(1日間だけ)
この仮ナンバープレートに付け替えて車検を受けるところまで走行する。(後ろプレートは封印があるためネジ一本で留める)
実際は装着していない例も多いが、実はこれは違反になる。
仮ナンバーは公道を走行するためのものなので、車検を受けるときは、元々のナンバープレートに戻す。
初めてユーザー車検をした時の感想は、 「え?もう終わり?こんな簡単なの?」 あっさり終わったというのが率直な気持ち。
もう既に7回ユーザー車検を行い、内2回は転勤先の遠い他県でユーザー車検をした。 2年に1回なのでいまだにドキドキはする。
ユーザー車検は、ド素人がプロに混じってやるので、車検場としては招かれざる客なのかと思っていたが、そんな事は微塵もない。
窓口や、検査官もみんなとても優しくて、むしろウェルカムな印象。(遠い他県の時はちょっと違ったが招かれざる客の印象はなかった)
遠い他県でユーザー車検を受けたとき、シートベルト非装着警告装置がない として不合格になり対処した記事がこちら →
シートベルト警告灯製作
車好きで面倒と思わずに楽しめる人や、普段から整備している車オタク(?)で、且つモラルを守れる善良な人間ならオススメしたい。
あるデータによると、ユーザー車検の車とディーラーなどで整備付きの車検を受けた車とでは、ユーザー車検の車の故障率がとても高いらしい。
それは、後整備がOKになった事で、ユーザー車検後の点検・整備を怠る不届き者が少なからず居ると言うことか。
安いと言う理由だけでユーザー車検にして、運良く合格したからと言って、車検後の点検や整備をしないのは言語道断。
自己責任でよーく考えてから行動に移してほしい。